まるで童話の世界に出てくるような妙な鼻を持つ動物、トガリネズミを知っているでしょうか?

その姿はまるで嘘をついて鼻が伸びてしまったピノキオのようです。 ただ、そんなトガリネズミは鼻がユニークなだけではなく、常に食事をしないといけない燃費の悪い体をしているのも特徴となっています。

ここでは姿形も生態も面白いトガリネズミについてご紹介します!

トガリネズミとは

特徴的な鼻の「トガリネズミ」、ずっと食事をしてないといけない燃費の悪い体で大変!
(画像=『FUNDO』より引用)

トガリネズミはトガリネズミ目トガリネズミ科の哺乳類動物で、何と言っても特徴的なのはその鼻にあります。 ここからはまずトガリネズミとはどういう動物なのかについてご紹介します。

世界中に生息するトガリネズミ

トガリネズミ、特徴的な姿ですから、特定の地域に生息する生き物と思ってしまいますが、実はトガリネズミの仲間は世界中に生息しています。

日本にも2亜科4属12種が生息しており、北は北海道から南は沖縄まで全国にトガリネズミの仲間がいます。

日本以外でもヨーロッパやロシアなどユーラシア大陸北部に生息しています。 南半球には生息していないようです。

実はトガリネズミはネズミではない

トガリネズミはネズミという名前から齧歯類の動物だと勘違いしてしまう人も多いのですが、実はネズミではありません。 分類としてはモグラやハリネズミと近縁の生き物とされており、名前の由来もハリネズミなどと似た細長い鼻先から付けられただけです。

食べ続けてないと力尽きてしまうトガリネズミ

特徴的な鼻の「トガリネズミ」、ずっと食事をしてないといけない燃費の悪い体で大変!
(画像=『FUNDO』より引用)

トガリネズミの特徴はその細長い鼻にあるのですが、それ以外にも面白い特性を持っています。 その特性とはかなり燃費の悪い体をしているという点です。

代謝がよすぎるトガリネズミ

トガリネズミは新陳代謝率が最も高い動物だとされています。

そのため、トガリネズミは約2時間に1回のペースで食事をしないといけません。 種類によって若干の違いがあるものの、熱の放散が大きいこともあって1日当たり体重の約2倍~3倍もの餌を食べないと死んでしまうようです。

人間も常に食べないと生きてはいけないですが、一日に数回ほど摂取すれば生きていけます。 厳密には水さえ飲んでいれば数日は食事をしなくても死ぬことはありません。 それに対してトガリネズミの場合は、わずか2時間でも食事の間隔ができると餓死してしまうというのですから大変です。

種によって食べるものは異なる

トガリネズミの仲間たちは世界中に生息しているのですが、それぞれ食べているものは異なります。

北ヨーロッパに分布しているヨーロッパヒメトガリネズミという種は小さい昆虫類や無脊椎動物を食します。 南ヨーロッパと東ヨーロッパに生息するスペインミズトガリネズミは小さな両生類や魚類の他にも昆虫だけではなくミミズなどの虫を中心に食します。 北米が生息地のブラリナトガリネズミは、ネズミ類も捕食することもあるそうです。

このように生息している地域で食べているものは全然違うんですよね。

捕食はされにくいトガリネズミ

逆にトガリネズミが捕食されることは少ないです。

それはトガリネズミには臭腺があり、身の危険を感じると強い匂いを発するからです。 この匂いから、あまり捕食対象とはされません。

とはいえ他の食べ物がなかなか見つからない積雪期などは捕食されることもあるそうです。 その積雪期でさえトガリネズミを食べようとする動物もそこまで多くいないそうです。

また、トガリネズミの中でもブラリナトガリネズミという種は毒性の唾液を持っていることも分かっています。 ただ、これは捕食者から身を守るためなのか、自身の捕食活動で使うものなのかはわかっていません。