ボスが直々に世話をしていた!

マウンテンゴリラは、一家のボスであるオスゴリラが1頭、成熟したメスが数頭、その子どもが数頭、それから場合によって、ボスに従属的なオスが数頭おり、これらを合わせて緊密なコロニーを形成しています。

ボスはコロニーの頂点として絶大な権力をもっていますが、意外にも子煩悩で、子どもの面倒をよく見ることが知られています。

ダイアン・フォッシーはかつて「家長のオスは、父親であるかどうかにかかわらず、コロニー内の若いゴリラに驚くほど優しく接する」と述べていました。

ボスゴリラは孤児を養子にして、直々に面倒を見ることが判明!「母なしのデメリット」を家族でカバーしていた
ボスゴリラと子どもたち / Credit: Dian Fossey Gorilla Fund(画像=『ナゾロジー』より引用)

また、長年の観察の末、母親を失った孤児を引き取って面倒を見るのは、メスではなく、ボスゴリラであることが分かったのです。

ボスは孤児を見つけると、その側で過ごす時間を増やし、次第に寝食をともにするようになって、最終的にはコロニーの一員にしていました。

この傾向は、すべてのコロニーのボスに共通して見られたとのことです。

また、最上位にいるボスが直々に世話することで、孤児がコロニー内で孤立することなく、食料やその他の資源にもアクセスしやすくなっていました。

ボスは単なる子ども好きではなく、そこまで考えて孤児を引き取っているのかもしれません。

モリソン研究主任は「赤の他人の子どもを育てる行動は、私たち人間にとても近いものです。血縁関係をこえた育児行動は、私たちのDNAに深く根ざし、古くはゴリラと共有していた可能性もあるでしょう」と述べています。


参考文献

Motherless gorillas beat the odds. For both gorillas and humans, it takes a village to raise a child.

元論文

Social groups buffer maternal loss in mountain gorillas


提供元・ナゾロジー

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