ゴリラも血のつながりをこえた愛情をもっているようです。

ダイアン・フォッシー・ゴリラ基金(Dian Fossey Gorilla Fund)の最新報告により、ゴリラの家族は、母親を失って孤児になった子ゴリラを引き取り、養子として育てることが明らかになりました。

しかも、一家の大黒柱であるボスゴリラが直々に孤児の面倒を見ていたとのことです。

研究は、3月23日付けで『eLife』に掲載されています。

孤児になっても死亡率が低いワケとは?

本研究は、1967年に著名な霊長類学者のダイアン・フォッシー(1932-1985)が基金を設立して以来、50年以上にわたるフィールドワークによる成果です。

研究主任のロビン・モリソン氏は「母親の存在は、あらゆる哺乳類において、幼少期の成長や生存に欠かせません。とくに、社会性の高い霊長類では、子どもが成熟しても関係を保ち、支援を続けます。

その中で私たちは、母親の喪失がゴリラの生存や社会性、将来の繁殖にどのような影響を及ぼすのかを調査しました」と話します。

ボスゴリラは孤児を養子にして、直々に面倒を見ることが判明!「母なしのデメリット」を家族でカバーしていた
ゴリラの親と子どもたち / Credit: Dian Fossey Gorilla Fund(画像=『ナゾロジー』より引用)

例えば、私たちに最も近いチンパンジーでは、母親を失った子どもはその後の死亡率が明確に高くなりますし、自分が親になったときに子育てに失敗することが多々あります。

ところが長年の調査の結果、マウンテンゴリラはまったく違う傾向を示していました。

孤児となったゴリラは、母親が側にいるゴリラと比較しても、死亡率がほぼ変わらないことが分かったのです。

加えて、母親の喪失は、孤児となったゴリラの将来的な繁殖および育児の能力に悪影響を及ぼしていませんでした。

それと対照的に、一家族のメンバーの数が増加する傾向があちこちで見られたのです。

調査を進める中で、それはコロニーが孤児となった子ゴリラを引き取っているからだと判明しました。

つまりゴリラは、孤児になっても他家族の養子になることで、死亡率や将来の繁殖・育児能力に悪影響が出なかったのです。