100種類のお茶割と唐揚げが楽しめるお茶割専門酒場『茶割』。2016年9月に1号店目となる学芸大学店をオープンして以来、徐々にファンを獲得し、2019年3月には2号店目となる目黒店をオープン。早くもさまざまなメディアに引っ張りだこの人気店となっている。
運営元は、代官山、学芸大学、目黒エリアで飲食店をプロデュースする株式会社サンメレ(代表取締役:多治見智高氏)。オーナーの多治見氏に「100種類の~」というキャッチーかつユニークなコンセプトをはじめ、人気店としての地位を確立するに至った業態づくりのポイントを聞いた。
より多くの人に飲んでもらうために、お茶割をリパッケージ
「100種類のお茶割と唐揚げ」という一度聞いたら忘れない、唯一無二のコンセプトが特徴的な同店。そもそも、サンメレの初出店は『daikanyama O'KOK』というイタリア料理店だった。次なる店として、茶割のコンセプトが生まれた背景には、多治見氏の「昔からあるお茶割をかっこいいものにリパッケージして、大衆酒場に行けない若者にも飲んでもらいたい」という思いがあった。
「今でこそお茶割にこだわりを持つ店が増えていますが、業態を検討していた2016年当時、お茶割を提供する店はペットボトル入りのお茶など既製品を使う店ばかりでした。お茶好きな自分としては、お茶自体の品質にこだわって、本当に美味しい一杯を提供したいと考えていたんです」
レモンサワーやハイボールなどがブームになった流れを見て、「お茶割はこれから絶対に伸びると確信していた」という多治見氏。たまたま良い物件が見つかったという学芸大学に1号店をオープンした。
メインの顧客は30代の男性だが、店を運営していく中で、女性もお茶割に興味があることを実感。また、近年のタピオカブームでお茶自体に世間の注目が集まっていたタイミングということもあり、お茶割をより都会的なものに落とし込めば女性客も狙える……とオープンしたのが目黒店だ。学芸大学店とはまた異なる、女性を意識した空間づくりが特徴となっている。
組み合わせの妙を堪能できる100種類のお茶割
店のメインメニューは、10種類の茶葉と10種類のお酒を掛け合わせて作る100種類のお茶割。この「掛け合わせ」のアイデアの裏にも多治見氏独自の哲学が潜んでいる。
「お茶割の主役である『お茶』は、複数種あるお茶をまとめて一言で表した言葉、つまり“概念”ですが、その概念の中には、世界中のたくさんのお茶が含まれています。『ウイスキー』や『アブサン』もしかりで、『ウイスキー』『アブサン』というジャンルで色々な味を幅広く取り揃えているバーは、独特のワクワク感がある。お茶割もそういった方向に持っていけるのではないかと考えて、できるだけたくさんの種類を用意しようと考えました」
この「たくさん」という状態を客に伝えるにあたり、「100」という数字をコンセプトに掲げた多治見氏。カシスウーロンや沖縄のさんぴん茶割など、「お茶割は焼酎で割るもの」という従来のイメージを覆すドリンクを参考にしながら、お茶を割る酒として、10種類もの酒を用意した。
「『お茶10種×お酒10種=100種類のお茶割』は、思いのほかキャッチーなイメージとしてお客様に受け入れていただいたので、そういう意味でもこの掛け合わせ数で良かったと思っています」
煎茶・茎茶・焙じ茶・アールグレイ・玄米茶・さんぴん茶・蕎麦茶・阿波晩茶・抹茶、そして月や週で変わる「限定茶」の10種類のお茶は、開店当時からお世話になっている近隣のお茶屋さんに相談して選んだもの。酒と混ぜてお茶割にした時に、個性を失わずにたてられるお茶を選定基準に、約半年の期間を要して厳選したという。
「似たような味ばかりという印象になってしまっては、メニューの幅を出すことができません。飲んで、ちゃんと違いが分かるもの、そしてお茶という概念をなるべく広く見て取れるようなラインのものをと選び抜いた10種類です」
また、酒は焼酎・泡盛・芋焼酎・ジン・ラム・ウイスキー・ブランデー・カシス・ピングレと月ごとに変わる「今月の酒」の10種類。お茶割メニューの中で人気が高いのは、リパッケージしたお茶割の代表格とも言える、爽やかな味わいの「茎茶×ジン」や、華やかな香りを楽しめる「アールグレイ×ブランデー」、そして「ウイスキー×ほうじ茶」など。また、多治見氏個人としておすすめしたいメニューは「玄米茶×焼酎」だという。
「もっと美味しいお茶割を作りたい……と、まず作ってみたのがこの玄米茶焼酎です。市販のブレンドされた玄米茶だと、お酒と混ぜた時に玄米っぽさが飛んでしまうので、当店用にお茶屋さんに比率を調整してもらいました。このこだわりも含めて、玄米茶焼酎をぜひ飲んでいただきたいですね」
鶏の部位と味を掛け合わせた、100種類の唐揚げメニュー
お茶割と同様に、唐揚げも100種類のメニューがある同店。目黒店ではにわとりを6種類、鴨2種、ダチョウ2種を混ぜた10種と味10種の掛け合わせだが、学芸大学店は部位10種と味10種の掛け合わせで提供している。
学芸大店で使う鶏肉は、もも・むね・かわ・ささみ・レバー・砂肝・ハツ・手羽先・ヤゲン軟骨・せせりの10種。味は、塩・醤油・柚子胡椒・梅・カレー・わさび・南蛮・パクチー・土佐酢、そして毎月変わる「今月の味」の10種だ。10種類の部位を用意するアイデアについては、“焼鳥”が発想の軸にあったという。
「唐揚げも焼鳥も鶏料理の代表格ですが、モモ肉とむね肉を主に使用する唐揚げと違い、焼鳥は鶏のいろいろな部位を調理しますよね。焼鳥のように唐揚げを食べられたら面白いなという発想から生まれたラインナップです」
メニュー開発時にさまざまな味を試し、開店後にも違う味を出しているという唐揚げメニュー。なかでもおすすめの組み合わせは、「せせり×土佐酢」。白髪ねぎとミョウガをたっぷりのせた唐揚げは、ほどよい酸味と出汁の効いた土佐酢と相性抜群。食感、味わいの異なる各部位と味のバリエーションによって、唐揚げもこんなに広がりが生まれるのかと驚く客も多いだろう。
認知度を上げ、お茶割をもっとメジャーな存在にしたい
現在、カウンター10席、テーブル8席の9坪の店は、月商約300万円の売上を叩き出している。客単価は時間帯によって異なるが、平均2,300円ほど。人気店に上り詰めた要因について、多治見氏はこう語る。
「唐揚げやお茶が嫌いな人が少ないということと、お茶割を提供している昔ながらの居酒屋に対して行きづらいイメージを持たれていた方たちも、気軽に入れる雰囲気がある点が要因ではないかと思います」
扱う食材や店の雰囲気づくりもさることながら、お茶割も唐揚げも素材の持つ可能性を深く追求し、さまざまなものと掛け合わせることで、新しい形が生み出されていく。「どんな味と出合えるか分からない」、そんなワクワク感も、客を大いに魅了する理由になっているのだろう。このワクワク感がどのように連鎖、拡大していくのか、これからの店舗展開が気になる所だが、今後のビジョンについて多治見氏は次のように思いを述べる。
「お茶割を出す店も増えてきていい波が来ているとは思うのですが、サワーほどは人気が広がってはいないですし、分からない人もまだまだいるような世界観なので、もう少しメジャーな飲み物になるといいなと思います。2020年には東京オリンピックが開催されて、外国の方もたくさん来日されます。その時に、“これが日本のカクテルか”とお茶割を飲んでいただけるような場所をたくさん作れればいいなと思っています」
最近では、国内メディアの露出だけではなく、海外メディアからの取材もあるという『茶割』。この店を発信源に、日本のお茶割が世界を魅了する日もそう遠くはないだろう。
『茶割 学芸大学店』
住所/東京都目黒区鷹番2-20-19 そしある学芸大2F
電話番号/03-6412-7884
営業時間/19:00~翌3:00(日曜のみ19:00~翌1:00)
定休日/月曜
席数/18
http://chawari.tokyo/
https://www.facebook.com/chawari.tokyo
文・河田早織/提供元・Foodist Media
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