コンパクトな体と密な毛皮を持ち、岩や低木に覆われた斜面に巧みに溶け込みます。
夕暮れ時になると、待ち伏せ型の狩人として、ネズミや小鳥、トカゲなどを素早く捕まえます。
また、ふさふさの尻尾を足の下に敷いて、凍った大地から体温を守る“特殊な防寒術”も特徴です。
この発見は、ヒマラヤ高地の自然にまだ多くの謎が残されていることを強く示しています。
他の希少生物たちも続々
今回の調査は、マヌルネコだけでなく、同じく希少なユキヒョウやウンピョウ、マーブルキャット、ベンガルヤマネコ、ヒョウといった多様なネコ科動物たちが、標高4200メートルを超える超高地に共存していることも明らかにしました。
チームは、いくつかの種でインド国内最高標高記録も樹立。
たとえばヒョウは4600メートル、ウンピョウは4650メートル、マーブルキャットは4326メートルで撮影され、世界的にもトップクラスの“限界生息域”であることが分かりました。
実際の画像がこちら。
さらにカメラトラップには、ユキヒョウとヒョウが同じ場所で臭い付け(マーキング)をするという非常に珍しい行動も記録されています。
これは大型ネコ科動物同士が、狭い高山地帯でどうやって縄張りや資源を分け合い、共存しているかを垣間見る貴重な証拠となりました。
ヒマラヤ高地では、ネコ科動物と人間との共存の歴史も深く刻まれています。
現地の遊牧民・ブロクパ(Brokpa)は、何世紀にもわたる牧畜文化を維持しながら、野生動物と共に生きてきました。
今回の調査でも、ブロクパの家畜と遊牧民の姿がカメラに収められており、“人と自然が支え合う伝統”の強さを感じさせます。
今回のような大規模調査は、現地ガイドやコミュニティの協力なくしては成り立ちませんでした。
科学と地域の知恵が融合し、初めて“幻のネコ”の姿を私たちに届けてくれたのです。
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参考文献
Grumpy-looking Pallas’s cat photographed by camera trap in stunning photo from eastern Himalayas
https://www.livescience.com/animals/cats/grumpy-looking-pallass-cat-photographed-by-camera-trap-in-stunning-photo-from-eastern-himalayas