足を瞬時に速くするための魔法の”思考法”があります。
英エセックス大学(University of Essex)のスポーツ科学研究チームによると、わずか数語の「たとえ話」を使うことでスプリンターの走るスピードが有意に上がったと報告されています。
具体的には「フェラーリのように駆け抜けろ」とか「ジェット機が飛び立つように走れ」と言い聞かせると、走るスピードが3%上がったというのです。
競技会や運動会など「本番直前でもう練習する暇がない」というときに使うと即効性が得られるかもしれません。
研究の詳細は2024年2月1日付で科学雑誌『Journal of Sports Sciences』に掲載されています。
目次
- アナロジー思考で「即効性」が得られる⁈
- 漠然としたイメージで潜在能力が引き出せる?
アナロジー思考で「即効性」が得られる⁈

研究主任のジェイソン・モラン(Jason Moran)氏は今回の研究で、ごく単純な「アナロジー思考」が選手のパフォーマンスを向上させうることを発見しました。
アナロジー(類推)とは、2つの違う事柄のうちに類似点を見つける思考法で、たとえ話がその一例にあたります。
たとえ話を使えば、難しい専門用語や抽象的な説明でも、簡単な言葉や日常生活の出来事に置き換えることで、聞き手にスムーズにイメージを掴んでもらうことができます。
例えば、パソコンの「CPU(中央処理装置)」を「人体でいう大脳のような司令塔」と言い換えるとイメージしやすくなるでしょう。
モラン氏らは、このアナロジー思考がパフォーマンス向上への即効性があるかどうかを検証しました。
「俺はフェラーリ、俺はフェラーリ… 」
今回の実験では、イングランドのプロサッカークラブであるトッテナム・ホットスパーFCのアカデミーに所属する14〜15歳の育成選手20名を対象にしました。