さらに、座っている時間の一部を軽い活動や中強度以上の活動に置き換えたとき、骨にどのような変化が起こるのかという「置き換え効」にも目を向けています。

加えて、世界保健機関(WHO)が推奨する身体活動量との整合性も検討され、現実的な行動指針に落とし込めるかどうかも確かめられました。

「運動」と「座りっぱなし」は、骨の健康にそれぞれ独立して影響を及ぼす

レビューの結論は明快で、運動と座りっぱなしは骨の健康にそれぞれ独立して影響するということでした。

つまり、運動をしていても長時間の座位が続けば骨にはマイナスが残り、逆に激しい運動が難しくても座る時間を減らしてこまめに動けば骨にはプラスが積み上がります。

子どもや思春期では、テレビやスマホなどのスクリーンタイムが長いほど、体重を支える部位の骨密度が低くなる傾向が示されました。

一方で、走る、跳ぶ、筋トレなどの負荷のかかる活動は、成長期の骨量をしっかり増やすことに役立つと報告されています。

成人期では、中〜高強度の体重負荷運動やレジスタンストレーニングが骨密度の維持に有効で、骨折リスクの低減とも結びつきます。

しかし、日中の多くを座って過ごす生活により、股関節や大腿骨など体重を支える部位の骨密度が下がりやすいことも明らかになりました。

高齢者や閉経後女性では、たとえ軽い活動であっても、座っている時間を動きに置き換えることが骨の維持に意味を持つことが示されました。

家の中の移動や家事、短い散歩などの積み重ねでも、座りっぱなしを続けるより骨には有利に働いていたのです。

今回の結果からすると、骨の健康を守るために日常で私たちが実践すべきことはシンプルであり、それはWHOのガイドラインとかなり一致していました。

子どもは1日60分以上の身体活動を確保し、スクリーンタイムをだらだら延ばさないようにすべきです。

成人は週に150〜300分の身体活動、そして全世代に共通して、長時間の座りっぱなしを避け、こまめに立ち上がって体を動かすべきです。