これは、たとえば「私ばかり我慢しているのに、相手は何もしてくれない」といった“損得リスト”を心の中に作るほど、関係に不満や冷めた気持ちが生じやすくなることを示しています。

一方で、この「見返りを求める姿勢」は、関係が長く続くほど自然と薄れていく傾向があることも判明しました。

つまり、多くのカップルは時間とともに“無償のやさしさ”を身につけていくのですが、逆にいつまでも損得勘定にこだわる人ほど、パートナーとの間に壁ができやすいのです。

似た者同士ならうまくいく?

では、「私も相手も同じくらい“見返りを期待するタイプ”なら、かえってうまくいくのでは?」

そんな素朴な疑問が浮かびますが、研究結果は違いました。

調査では「お互いに損得勘定が強いカップル」と「どちらかだけが強いカップル」と「両方ともあまり気にしないカップル」を比較しましたが、満足度が最も高かったのは「両方とも“見返りにこだわらないカップル」だったのです。

驚くべきことに、「似たもの同士」だからといって関係が必ずうまくいくわけではありませんでした。

むしろ、どちらか一方でも損得勘定が強い場合は、パートナーの性格に関係なく、関係の満足度が低下しやすい傾向が見られたのです。

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Credit: canva

また、この「見返り意識」は関係の初期だけでなく、年月が経っても満足度にネガティブな影響を与え続けることが分かっています。

さらに「不満がたまったから損得勘定が強くなる」のではなく、「損得勘定が強いから不満が生まれる」――つまり原因と結果が逆であることも長期調査によって確認されました。

この研究結果は、「どちらか一方が頑張ればいい」わけでも、「似ていればうまくいく」わけでもなく、「お互いが自然に思いやる気持ち」を持つことこそが、恋愛関係を長続きさせるポイントだと示しています。

恋人やパートナーに「こんなにしてあげたのに」とつい思ってしまうことは、誰にでもあるかもしれません。