そして彼らの体臭を比較するため、新しい綿のTシャツを6時間以上着用してもらい、それを匂い分析器で解析

また匂いを嗅ぐボランティア「スメラー」を25人募集して、参加者たちの体臭を比較してもらいました。

機械と人間の両方で、ウマが合う友人ペアの匂いを比較調査したのです。

その結果、機械と人間の両方が、「ペア同士の匂いは、そうでない人の匂いと比べて似ている」と判断することが多かったようです。

とはいえ、この結果だけでは、「同じような匂いが友情を促進する」とは言い切れません。

彼らはすでに多くの時間を一緒に過ごしてきたため、住んでいる場所や食べ物など、似たような経験を通して、同じ体臭が形成された可能性があるからです。

そこでチームは、追加の実験を行うことにしました。

「ウマが合う」と感じた相手は「自分と同じ匂い」だった

「ミラーゲーム」の様子。お互いの相性が分かる
「ミラーゲーム」の様子。お互いの相性が分かる / Credit:Inbal Ravreby(Weizmann Institute of Science)et al., Science Advances(2022)

別の実験では、それぞれが初対面の17人を集め、「ミラーゲーム」を行ってもらいました。

ミラーゲームとは、お互いの手の動きを真似するゲームのことです。

今回は、お互いが匂いを嗅げるよう50cmだけ離れた至近距離で行われ、2分間続けられました。

66組のペアで試したところ、3分の1のペアが「相手と気が合う」と答えました。

そして参加者の体臭サンプル(前回の実験と同様の方法で採取)を匂い分析器にかけたところ、気が合うペアはそうでないペアに比べて、匂いの化学的な類似性が有意に高いと判明。

初対面で意気投合する2人の匂いは似ている確率が高い
初対面で意気投合する2人の匂いは似ている確率が高い / Credit:Depositphotos

似たような匂いの人々は、71%の確率で「気が合う」「ウマが合う」と感じていたのです。

さらに2人の匂いが似ているほど、お互いに好意をもち、理解し合い、相性が良いと感じていることも分かりました。