だいぶイヌの方が、視界は悪いという印象を受けますね。

とはいえ、イヌの目の構造は「狩りを行う」というイヌの生態に特化しています。

世界を広く見渡し、動くものを瞬時に見つけられるよう、視野の広さや動体視力は人間をはるかに凌駕しているのです。

また、イヌはぼんやりとした視界を十分にカバーできる視覚以外の能力を持っています。

それが優れた嗅覚と聴覚です。

犬は嗅覚と聴覚で視力をカバーできる

耳をすます犬
耳をすます犬 / credit:Pixabay

イヌは人間よりも非常に優れた嗅覚と聴覚を持っています。

嗅覚が人間の数千倍と並外れていることは良く知られていることだと思いますが、実は聴覚も優れており、人間には聞こえない周波数の音を聞き取れたり、1㎞先の音を聞き取れたりするそうです。

エトヴェシュ・ロラーンド大学のガーボル氏らが行った実験では、イヌは嗅覚に頼らなくても声だけで飼い主を探し当てることができるという結果が示されました。

イヌは視覚だけでなく、優れた嗅覚・聴覚を持っているため、多少視界がぼやけていても問題なく生活を行うことができるのですね。

そう考えるとむしろ人間の方が視覚に頼る割合が大きすぎて不便な気もしてきます。

犬が見える世界をイメージしてみよう

黄色いオモチャで遊ぶ犬
黄色いオモチャで遊ぶ犬 / credit:Pixabay

ペットのオモチャや食事を選ぶとき、私たちはついつい自分の目でみた認識のまま選んでしまいます。

しかし実は愛犬の目に映るのは私たちとまったく異なる世界で、私たちが選んだ色鮮やかな物たちもイヌにとっては薄ぼんやりした物なのかもしれません。

例えば、イヌの視覚では赤いボールなどは、非常に見えにくく、逆に青や黄色のボールだとはっきり見えると言うことになります。

私たちの目には血色豊かなお肉のように見えるペットフードもイヌには見えにくいでしょう。

また、私たちはついつい視覚ばかり考えてしまいますが、聴覚と嗅覚も優れたイヌからすればじゃらじゃらと音が鳴ったり、魅力的な臭いがするものがお好みかもしれません。