一方で、X線の余韻はガンマ線バーストよりも遥かに長く続きますが、こちらが地球に影響を及ぼすには約3光年という短い距離になければならないことが分かりました。
しかし地球にとって最大の脅威となるのは、キロノヴァの最後に放出される宇宙線でした。
宇宙線はキロノヴァの衝突地点からバブル状に全方位に向けて広がり、高エネルギーの荷電粒子を数千年にわたり放出し続けます。
チームの試算によると、宇宙線の影響は約36光年先まで届き、もし地球がその範囲内にあると、数千年にわたってオゾン層の破壊と地上への放射線暴露が続き、生命はほぼ確実に絶滅すると説明しています。

ただ私たちにとって幸運なことに、この危険距離内でキロノヴァが発生する確率は今の所ほぼゼロであることが分かっています。
そもそもキロノヴァを引き起こす中性子星同士の衝突自体が極めて稀であり、研究者いわく、1000億個の恒星のうち中性子星同士の衝突を起こすのはわずか10個程度だと推定されているという。
またキロノヴァを起こす天体は、現在のところ地球が属する天の川銀河自体に存在しないと考えられており、もしあったとしても本研究が示すように、かなり近い距離にないと地球に害を及ぼすことはないでしょう。
こちらは中性子星同士の衝突により発生するキロノヴァのイメージ映像です。
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参考文献
How a ‘Kilonova’ Explosion Nearby Could End Life on Earth
https://www.newsweek.com/kilonova-neutron-star-collision-extinction-life-earth-1867388