ガンマ線バーストは現在、宇宙で知られている中で最も光度の高い閃光現象の一つであり、キロノヴァの場合、衝突した星の両極側から2方向のジェットとして噴出します。

それに続いて、ガンマ線バーストが周囲の星間物質に衝突することで強力な「X線」が発生します。

これがキロノヴァ発生後の数日〜数年間に起こることです。

さらにその後はキロノヴァの残留物から「宇宙線(Cosmic rays)」の衝撃波が数千年にわたり広く放出され続けます。

では、これら3種類の放射線はどれくらい危険であり、またどれくらいの距離にあれば、地球はキロノヴァの影響から無事でいられるのでしょうか。

どれくらいの距離にあると危険なのか?

研究チームは今回、2017年に観測されたキロノヴァ「GW 170817」から得られたデータをもとに調査を実施。

GW 170817は中性子星同士の衝突で発生したキロノヴァであり、地球から約1億3000万光年の遠い距離にあります。

本研究では、GW 170817の放出エネルギーを分析し、地球からどれくらいの距離にあると危険かを試算しました。

その結果、最初に放たれるガンマ線バーストの危険距離は約13光年であることが示されています。

この範囲内にあると地球はもろにガンマ線バーストの直撃をくらい、地上を守るオゾン層が破壊される危険性が高いという。

オゾン層が破壊されると、太陽からの有害な紫外線が増加し、地上の生態系を崩壊させます。

紫外線の増加は生物の皮膚がんリスクを高めるだけでなく、免疫系にも影響を及ぼし、さまざまな病気への抵抗力を弱めます。

加えて、植物の光合成能力や海のプランクトンも多大なダメージを受けるため、生態系全体のバランスが瓦解するでしょう。

チームによると、ガンマ線バーストの放出は短い期間で終わるものの、オゾン層が回復するには最低でも4年はかかるといいます。

中性子星同士の衝突イメージ
中性子星同士の衝突イメージ / Credit: en.wikipedia