タコは柔軟に動く8本の腕があります。
では、その8本の腕はそれぞれ平等に使われているのでしょうか?
そこで米フロリダ・アトランティック大学(FAU)は今回、タコの腕の使われ方について調査。
その結果、タコの腕には「役割分担」があり、なかでも最もよく使われる“主役の腕”があることが明らかになったのです。
研究の詳細は2025年9月11日付で科学雑誌『Scientific Reports』に掲載されています。
目次
- タコの腕には「主役」と「サポート役」があった?
- 役割分担はなぜ生まれた?
タコの腕には「主役」と「サポート役」があった?
タコの体のほとんどは8本の腕でできています。
水の中をすべるように泳ぐときも、海底を歩くときも、獲物をつかむときも、吸盤が並ぶこの腕が大活躍します。
しかし「全部同じように使っている」と考えてしまいがちですが、実際のタコはもっと戦略的でした。
新たな研究で、野生のタコを水中カメラでじっくり観察した結果、8本の腕の使い方に明確な違いがあることがわかりました。
研究チームはカリブ海やスペインなど6つの場所で25匹のタコを観察し、合計3907回もの「腕の動き」を細かく記録。
結果、タコは8本のうち「前方に伸びる4本の腕」を最も多く使っていました。
特に「伸ばす」「持ち上げる」「下げる」「カールさせる」など、タコが周囲を探ったり、獲物に手を伸ばしたりする動作は、この前方の腕が主役となっています。
全体の動作のうち約64%が、前方の4本の腕で行われていたのです。

一歩で、後方にある4本の腕も使われますが、その割合は全体の36%ほど。
つまり、タコの「主役」は前方の腕、後方の腕は「サポート役」のような立場だと言えるでしょう
また、タコの腕はどれも見た目はほぼ同じで、左右の「利き腕・利き足」のような偏りはなく、どちら側も同じように使われていることも明らかになりました。