その要因として、ADHD診断の精度が高まっていることも指摘されますが、研究者らそれ以上に「スマホの過剰使用」を問題視し始めています。

スマホの過剰使用でADHDになる?

2018年に発表された研究では、1日に2時間以上スマホを使用している人は、スマホ使用が少ない人に比べて、ADHDの症状を発症するリスクが10%も高いことが示されました(Journal of the American Medical Association, 2018)。

これはどういうことなのでしょか?

研究者の説明によると、スマホでのSNSやネットサーフィンは人々に絶え間なく新しい情報を提供し続けています。

また私たちはスマホを開くだけで、簡単にそれらの新しい情報を得ることができます。

そうなると私たちはスマホをチェックするために、私生活でも仕事中でも頻繁に小休憩を取るようになってしまうのです。

常にスマホでSNSをチェックしている人の中には、勤務中でも頻繁に小休憩を取って、誰かが自分の投稿に「いいね」をしたり、コメントをしていないか、確認せずにはいられなくなっている方も多いでしょう。

この状況はまさにADHDに見られる注意散漫の状態と同じなのです。

スマホの過剰使用はADHDの不注意の状態と同じ
スマホの過剰使用はADHDの不注意の状態と同じ / Credit: canva

加えて、自由時間や休憩時間をもスマホの閲覧に費やすことで、脳を休める時間がなくなり、仕事中の集中力が低下します。

つまり、スマホを頻繁に見てしまう状態が、すでにADHDに特有の注意散漫や集中力の低下といった症状を体現しているのです。

ADHDとスマホの過剰使用はどちらが先にあるのか?

その一方で、米スタンフォード大学(Stanford University)の精神科医であるイライアス・アブジャウドゥ(Elias Aboujaoude)氏は「ADHDとスマホの過剰使用との関連性は長らく、卵が先か鶏が先かという問題になっている」と話します。