ちなみに、放置カートによる影響はCO₂排出だけにとどまりません。

川や水路に捨てられたカートはごみや落ち葉をせき止め、洪水の原因になることもあります。

ボートや車の損傷、歩行者や子どものケガ、都市景観の悪化、公園や道路の「使いにくさ」も大きな問題です。

また、カートの回収や修理にかかるコストは小売店の経営にも重くのしかかっています。

こうした状況を受けて、研究チームは物理的な対策(バリア設置・車輪ロック・コイン返却式・監視カメラの導入)や、心理的アプローチ(「監視されていますよ」と感じさせるサインや、「戻すのが当たり前」という社会的な空気作り)が重要だと指摘しています。

そして今後は、より環境に優しい素材や、簡単に修理できるカートの開発も求められています。

買い物のあと、つい手近な場所にショッピングカートを置きっぱなしにしたり、自分の都合の良い場所へと持っていきたくなったりするでしょうか。

その一台が環境にも社会にも思わぬダメージを与えていることを、ぜひ心にとめてください。

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参考文献

Abandoned Shopping Carts Do More Damage Than You Think
https://www.sciencealert.com/abandoned-shopping-carts-do-more-damage-than-you-think

The environmental toll of abandoning a shopping trolley
https://phys.org/news/2025-09-environmental-toll-abandoning-trolley.html

元論文

The Environmental Impact of Collecting and Processing Abandoned Shopping Trolleys in the UK
https://doi.org/10.3390/su17062692