このコールは通称「ワップ(whup)」または「スロップ(throp)」と呼ばれ、ザトウクジラが仲間を呼んだり、お互いの居場所を知らせるために使います。
研究主任のフレッド・シャープ(Fred Sharpe)氏によると「ザトウクジラが発する社会的な音のレパートリーの中で最も一般的な信号のひとつ」だという。
20分間の会話のキャッチボールに成功!
チームは録音したコンタクトコールを調査ボートに搭載した水中スピーカーで流し、ザトウクジラがどう反応するか観察しました。
すると「トウェイン」と名付けられたメスのザトウクジラがボートに近づいて周囲を旋回し、さらに音声に対して応答し始めたのです。
チームは異なる間隔で36回の音声を流しましたが、トウェインはその度にコールを返し、会話のキャッチボールは約20分間も継続しました。
トウェインはその間に7回も水面に浮上してきたといいます。
こちらが実験模様の図解。
また音声を流す間隔を変えてみると、トウェインもそれに応答するタイミングを合わせてきました。
例えば、トウェインへのコールバックを再生するのに10秒待った場合、トウェインの方もそれに応答するのに10秒待っていたのです。
30秒待った場合は、トウェインの方も30秒後に返答していました。
これはトウェインが適当に返事しているのではなく、意図的にタイミングを合わせて意味を持った会話をしようとしていることを示唆します。
実際の映像がこちら。
これを受けて、同チームのブレンダ・マッコーワン(Brenda McCowan)氏は「人間とザトウクジラが、ザトウクジラの言葉を通じてコミュニケーションを取るのに成功した世界初の事例だ」と話しました。
「未知との遭遇」に役立てる
チームはこの成果が、来るべき地球外生命体とのコンタクトのためにも大いに役立つと期待しています。
SETI協会の主任研究員であるローランス・ドイル(Laurance Doyle)氏は、トウェインの行動について、地球外の知的生命体が人類を探し出す方法に似ている可能性があると指摘します。