”未知との遭遇”の前準備として、クジラとの会話をすすめる取り組みが行われています。
米カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)を中心とする研究チームは2021年に、ボートに搭載した水中スピーカーからザトウクジラの「音声」を流す実験を敢行。
その結果、「トウェイン(Twain)」という名のザトウクジラがボートに近づいてきてそれに応答し、約20分間の会話のキャッチボールが実現しました。
人間とクジラの会話コミュニケーションの成功はこれが世界で初めて。
この成果はクジラの生態を理解するだけでなく、地球外生命体とのコンタクトの実現に向けても役立つとのことです。
研究の詳細は2023年11月29日付で科学雑誌『Peer J』に掲載されています。
目次
- 宇宙人とのコンタクトの前にまずはクジラと会話
- 20分間の会話のキャッチボールに成功!
- 「未知との遭遇」に役立てる
宇宙人とのコンタクトの前にまずはクジラと会話
本調査を行ったのは、カリフォルニア大学デービス校とアラスカクジラ財団(AWF)および、地球外生命の発見を目的とする団体・SETI協会から成る共同研究チーム「Whale-SETI」です。
Whale-SETIは、宇宙から送られてきた信号をキャッチして応答するための言語コミュニケーションシステムの開発を進めています。
そのためにチームはまず、地球上で最も賢い生物のひとつである「ザトウクジラ」を対象に会話のやり取りができるかどうかを試そうと考えました。
ザトウクジラは非常に知能が高く、複雑な社会システムを持っており、鳴き声を通して仲間と多彩なコミュニケーションをしています。

チームは2021年8月、アラスカ沖でザトウクジラが仲間内で挨拶するときに用いる「コンタクトコール(contact call)」を高音質で録音しました。