「緊縛」「乱交」「ロボット」「大人のオモチャ」などマニアックな要素を含むBL作品の人気は英語圏・中国語圏ともに下位に留まっていました。

一方で、英語圏と中国語圏で大きく人気が異なるジャンルもありました。

特に大きく違っていたのは「レイプシチュエーション」の人気でした。

中国語圏において「レイプ」は人気第1位の「束縛と支配」のジャンルに内包されており、魅力が高いシチュエーションとなっていました。

英語圏でも「レイプ」は人気のジャンルでしたが「束縛と支配」の1形態(つまり親密さを増すための方法)としては認識されておらず、魅力は限定的となっていました。

研究者たちはレイプに対する文化の価値観の違いがジャンルの好みに影響したと考えています。

なおBL作品で描かれるレイプは物語の進行に必要な展開として描かれることが多く、レイプが描かれているBL作品を読んでも女性が現実世界での影響はまったくないと過去の研究では報告されています。

また「触手プレイ」に対する評価も2つの文化圏で大きく異なっていました。

中国語圏では、触手を用いたプレイが一定の人気を誇っていたものの、英語圏では触手プレイは不人気でした。

研究者たちは英語圏では多くの国でタコを食べる習慣がなく「悪魔の魚」として嫌悪の対象になっていることが原因の1つであると推測しています。

あるいは、日本のサブカルチャーの影響を古くから受けていた中国語圏では、触手プレイに対する免疫があったのかもしれません。

さらに英語圏と中国語圏ではBL作品の購買層にも若干の違いがありました。

BL作品を好んで読む男性の割合は、英語圏では16%なのに対して、中国語圏では男性の割合は11%になっていました。

また全体における非異性愛者(同性愛者など)の割合は英語圏では69%に及んだのに対して、中国語圏では34%に留まっていました。

この結果は、中国語圏では英語圏にくらべて、よりカジュアルにBL作品を楽しんでいる人が多い事を示します。

BL作品には女性の性的倒錯が隠れている

BL作品に描かれるシチュエーションには女性の性的倒錯が潜んでいる
BL作品に描かれるシチュエーションには女性の性的倒錯が潜んでいる / Credit:Canva . ナゾロジー編集部