研究を主導したアンナ・マディル氏はBLの熱心なファンであり、特にライトなものより男性同士の激しくも濃厚なエロスが自分でも戸惑うほど好きであると述べています。
調査にあたっては、主としてどのジャンルが好みであるかが重点的に調べられました。
結果、英語圏と中国語圏の両方で最も好まれるジャンルが「束縛と支配(BDSM)」の概念のある作品であることが判明します。
ただ、ここで言う「束縛と支配」は一方的な肉体関係の強制を意味するものではありません。
BLにおける「束縛と支配」またはそれに付属する主従関係は、登場人物たちの親密さや愛情深さを支えるスパイスであり、時にはユーモアの演出にも使用される舞台装置となっているのです。
極論すれば、男性向けの作品で「ご主人様とメイド」の関係が登場人物の関係性を補強するように、BL作品でも「ご主人様×執事」あるいは「執事×ご主人様」の関係は2人の親密さを強化しているのです(BLにおいて表記の順序は重要です:前が攻めで後ろは受けを意味します)。
次いで人気だったのは、猫耳やキツネ尻尾を持つキャラクターが登場する「動物系の擬人化モノ」でした。
BLにおいて動物の擬人化は動物的な可愛らしさや動物的な情熱(主に性欲)を表現するためのツールとなっており登場人物たちの関係性の演出や物語の展開に用いられています。
そして3番目に人気だったジャンルは登場人物が未成年である「未成年モノ」でした。
若い2人による初々しい恋愛、あるいは刺激的な年の差恋愛は文化が違っても人気のジャンルであるようです。
ただ「未成年」の概念は文化圏によって異なっており、英語圏の場合は性行為の同意能力がある(合法)とされているのは16~18歳である一方、中国語圏では低くなる傾向があり、香港と台湾では16歳、中国本土においては14歳で性行為の同意能力があるとされ性行為が合法となっています。
なお好みが一致するのは上位ジャンルだけではありませんでした。