さらに、子どもの年齢や性別、家庭の社会経済的状況、子ども自身の運動量もすべて統計的に調整し、本当に親の運動習慣が子どもの座りっぱなし行動に影響しているのかを明らかにしようとしました。
親が「座りっぱなし」だと、子供も「座りっぱなし」だと判明
調査の結果、親子ともに1日平均8~9時間もの座りっぱなし時間があることが明らかになりました。
そして注目すべきは、運動不足の母親を持つ子どもは、母親と同じように座りっぱなしの時間が長くなる傾向がはっきりと見られたことです。
父親の場合も、運動不足であるほど、子どもの座る時間が増える傾向が確認されています。
つまり、親が動かない習慣を持っていると、子どもも自然と座っている時間が長くなりやすいのです。
これは単に同じ生活リズムを共有しているからではなく、親の生活習慣そのものが子どもの行動に影響を与える、いわゆる“お手本”効果が働いていると考えられます。
一方で、親が十分に運動している場合には、親子の座り時間が特に似通うことはありませんでした。
特に母親の行動が子どもへの影響力が大きいことも示唆されました。
これは、家で一緒に過ごす時間や生活リズムが母子間で共有されやすいことが影響していると考えられます。
親自身が運動や外出に積極的であれば、家族みんなで外に出かける、一緒にスポーツや遊びを楽しむなど、家庭全体の活動的な時間が増えることにつながります。
また、親が座りすぎのリスクや運動の大切さを意識していれば、子どものスクリーンタイムを管理したり、外遊びや運動を勧めたりする行動も増えるでしょう。
反対に、親が何もしなければ、子どもは「家でダラダラ」が普通になりやすいのです。
もちろんこの研究にも限界はあります。
この研究は、ある時点の生活を調べる断面調査であるため、親の行動が直接的に子どもの将来を決めると断言できるわけではありません。
また、研究参加はボランティアだったため、一般家庭すべてに当てはまるとは限りません。