続く解析では、背腹軸を決めるシグナル分子も一度は乱れるものの、時間が経つと再び正常なパターンへと回復することが観察されました。

このことから、前後軸の再形成が背腹軸の再構築を引き起こす条件を整えることが示されました。

今回の研究により、ウニの受精卵が「半分に割れても、再び自ら体を組み立て直し完全な個体になる」という驚異的な現象の裏側に、細胞の自律的な形態変化と遺伝子シグナルの再活性化による軸の再構築があることが初めて明らかになりました。

この知見は、発生生物学の古典的な謎を解き明かすだけでなく、ヒトを含む動物の発生や一卵性双生児の形成、さらには再生医療や人工臓器研究においても重要なヒントを与えるものと期待されています。

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参考文献

ウニが双子をつくる仕組みを解明
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/biology-environment/20250905180000.html

元論文

Unraveling the regulative development and molecular mechanisms of identical sea urchin twins
https://doi.org/10.1038/s41467-025-63111-z

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部