私はオンライン会議やオンライン講義によく出席していますが、紙やメモ帳に必死に書いています。なぜなら書くことで話し手が述べたことを同時通訳的に簡単な表現でまとめているのです。これはそれなりに頭を使いながら、記憶の植え付けを行っているともいえます。
読売新聞に「講義メモする学生は1割、本・新聞など読まない学生は2割…いずれも国語問題の正答率低く」とあります。記事内容はこのタイトルが全てを物語ります。ただ、一点、記事中で気になったのが「紙の本を読む人は読書時間が1日あたり約40分。またSNSやブログを読み物として読むと回答した人は約60分だった」という記述です。この回答は本を読まない2割の学生を除いた8割の本を読む学生の読書時間を表したものだと理解しています。そうだとしても紙の本を1日平均40分、画像の読み物が60分というのは盛りすぎだと思います。
私も大学生の時、アンケートは何度かあったのですが、その回答は極めていい加減でした。つまり自分の実態ではなく、体裁重視で、ある程度格好良いものになる回答をしていたのです。それが無記名であっても事実を素直に書くことはありませんでした。それは私だけではなく、周りではごく普通でした。実態としては学生で書籍を読む人は極めて限られると思います。それは大学図書館に行けばわかります。その代わり、読む人はもの凄く読む、という極端な差が生じている状態でしょう。よく書店に行くと本の帯に「東大生、京大生に最も読まれた本」といった売りが入っています。あれなどは誇張表現の極みでしょう。どうやって調べるねん?と聞いてみたいところです。
スマホの時代になり人間は自分で記憶する必要がますます薄れてきました。実を言うと私も怪しいのです。というのは北米で投資をしていており、数十銘柄を管理し、それ以外に注目銘柄も加わるのですが、ほぼ全部ティッカーだけで見ているので本当の会社の名前を思い出せなくなるのです。投資は全部画面上でやっているのでなるほど、自分が自分で記憶を植え付けられない実践をしているとも言えます。日本のティッカーは4桁の数字なので番号で覚える人は少ないでしょう。北米はこれがアルファベットの組み合わせなので社名の想像がつくけど正式名が引き出せないわけです。