なぜ脳に寄生虫が? 原因は「ヘビの胆嚢」の生食

 手術は成功したが、最大の謎が残された。一体どうして、こんなにも長い寄生虫が男性の脳に入り込んでしまったのか?

 医師たちが問い詰めると、リーさんは数年前に犯した、ある無謀な行為を思い出した。彼は遊び半分で捕まえたヘビの「胆嚢(たんのう)」を、その場で生きたまま飲み込んだというのだ。当時は何とも思わなかったその行為が、ヘビの体内に潜んでいた寄生虫の幼虫を、自らの体内へと迎え入れる結果となった。幼虫は体内を移動し、最終的に脳にたどり着き、そこで静かに成長を続けていたのである。

ゲテモノ食いに潜む恐怖「スパルガヌム症」

 この恐ろしい寄生虫の正体は、「スパルガヌム」と呼ばれるマンソン裂頭条虫の幼虫だ。スパルガヌムは、カエル、ヘビ、鳥などの体内に潜んでいることが多く、これらの肉を生で食べたり、加熱が不十分な状態で摂取したりすることで人間に感染する。

 体内に侵入した幼虫は、筋肉や皮下組織、そして時には目や脳といった極めて危険な部位に移動し、そこで成長する。脳に寄生した場合は、けいれんや麻痺、意識障害といった深刻な神経症状を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある。

 幸いにも、リーさんは手術から10日後には無事に退院し、完全な回復が見込まれているという。医師たちは、彼のこの壮絶な体験が、安易なゲテモノ食いや生食の危険性を人々に伝える「教訓」となることを願っている。ほんの少しの好奇心や蛮勇が、取り返しのつかない事態を招くことがあるのだ。

参考:Oddity Central、ほか

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