KGモーターズは、一人乗り超小型EV「mibot(マイボット)」の量産化に向け、2025年12月末からの初期ロット納車を目指している。同社は、豊田合成やみずほリースCVCを含む主要企業から累計23.8億円の資金調達を完了しており、自動車愛好者やモータースポーツファンのみならず、パーソナルな移動手段や環境負荷の低い自動車を求めるユーザー層から注目を集めている。

目次
KGモーターズの挑戦:未来のモビリティ開拓者
超小型EV「mibot」の基本特長と魅力

KGモーターズの挑戦:未来のモビリティ開拓者

KGモーターズは2022年7月に設立されたモビリティスタートアップである。「持続可能な移動を楽しく、快適に実現する」というビジョンを掲げ、超小型EVという分野に特化して挑戦を続けている。現在の自動車市場が大型化する一方で、地方の高齢化やラストワンマイル問題(物流の最終拠点から顧客への配送)、脱炭素社会への移行といった多様な移動課題が存在する。同社は、1人乗りに特化したEVがこれらの社会課題解決の鍵となると考えている。

KGモーターズは、単に自動車を製造するだけでなく、MaaS事業(Mobility as a Service、移動そのものをサービスとして提供する事業)の展開も目指しており、その事業展開は将来的なモビリティのあり方を示すものとして期待されている。

資金調達概要 資金調達の概要を示した図。

今回の資金調達の内訳は、追加調達額が3.6億円、シリーズA総額が17.5億円、累計調達額が23.8億円である。新規出資者には豊田合成株式会社、未来創造キャピタル株式会社(みずほリースCVC運営会社)、鈴与商事株式会社、株式会社日本海ラボ、ひろぎんキャピタルパートナーズ株式会社、株式会社YMFGキャピタル、スパークル株式会社が名を連ねている。また、既存株主であるちゅうぎんキャピタルパートナーズ株式会社も追加出資を実施した。自動車部品大手の豊田合成やリース事業のみずほリースCVC、物流の鈴与商事といった事業会社が参画している点は、資金提供にとどまらない、本格的な協業フェーズへの移行を示唆している。

超小型EV「mibot」の基本特長と魅力

「mibot」は、KGモーターズが「モビリティロボット」と呼称する一人乗り超小型EVである。そのデザインは「レトロかつ未来的なデザイン」と表現されており、SF映画に登場するような先進性と同時に、どこか懐かしさを感じさせる外観が特徴である。

mibotについて 超小型EV「mibot」のイメージ。

mibotは超小型ながらも、ユーザーの快適性と安全性を追求している。ドアとエアコンを標準装備することで、軽自動車にも匹敵する快適な室内空間を提供し、天候に左右されない移動を可能にする。これは、オープンタイプの超小型モビリティが多い中で、大きな差別化ポイントである。

維持コストの低さも特長の一つである。EVであるためガソリン代は不要であり、電気代も比較的安価に抑えられる。車両自体がコンパクトであるため、維持費全体を低減できることが期待される。これは経済的なメリットだけでなく、環境負荷の低減にも寄与する。

技術的な特徴として、SDV(ソフトウェア定義車両)設計が挙げられる。SDVとは、車両の機能や性能がソフトウェアによって制御・更新される自動車のことであり、スマートフォンのOSアップデートのように、mibotも購入後に機能追加や性能向上が期待できる。これは「モビリティロボット」というコンセプトの真髄であり、進化する自動車としての可能性を秘めている。また、1人乗りに特化することで、無駄なエネルギー消費を抑え、環境負荷を最小限に抑えることにも貢献する。