さらにデカルトは数式の中の未知数にyとzではなく「x」を積極的に使ったのですが、それはフランス語にxを使う単語が少なく、印刷所にxの植字が大量に余っていたからだと言われています。

その真偽はどうであれ、デカルト以降、「未知数=x」の表記ルールが世界的なスタンダードになったのです。

数学を超えて、未知なるもの「X」へ

その後、Xは数学の範囲を超えて、「未知なるもの」を指し示すための記号としても使われるようになりました。

最初に挙げたX-MENやXファイル、Xファクターのように、フィクション作品やテレビ番組への影響も著しいですが、科学的な例を挙げると「X線」が有名ですね。

X線は1895年にドイツの物理学者ヴェルヘルム・レントゲンによって発見されましたが、その光が「目に見えない不可思議な存在」であることから「X」の名が与えられました。

ヴィルヘルム・レントゲン
ヴィルヘルム・レントゲン / Credit: ja.wikipedia

今日では「未知なるもの=X」がすっかり定着し、日常的に「謎の物体X」とか「超大物X」なんていう表現をよく見かけます。

こうした使い方ができるのは、デカルトの仕事によるところが大きいのかもしれません。

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参考文献

X marks the unknown in algebra – but X’s origins are a math mystery
https://theconversation.com/x-marks-the-unknown-in-algebra-but-xs-origins-are-a-math-mystery-210440

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部