「まぜるな危険」のフレーズに代表されるように、日常生活の中には、組み合わせてはいけない非常に危険なコンビが存在する。
以前X上では、絶対に「瞬間接着剤を使用してはいけない物体」が話題となっていたのをご存知だろうか。
■瞬間接着剤を「数滴」垂らしただけで…
今回注目したいのは、音楽家・渡辺庸介さんが投稿したポスト。
「フェルトに瞬間接着剤を使ってはいけないと知らず、危うく大火傷するところだった。焦った。常識だとしたら恥ずかしいのですが、知らない方のために。物凄い発熱と共に白煙が出てきます」と綴られた投稿には、20秒ほどのショートムービーが添えられている。
動画内ではフェルト素材の同じ箇所に瞬間接着剤を垂らしており、途中までは異変が見られないのだが…。4滴ほど垂らした当たりで、フェルトが突如発煙。
高温で発熱し出した様子が確認できたのだ。
■「ティッシュで拭いて事故った」という体験談も…
「僕は誤って指をくっつけてしまいプチ火傷。すぐ振り払いましたが、接着して取れなくなってたらと思うと」と締められたポストは、瞬く間に話題に。
Xユーザーからは「知らなかった…」「だから布用ボンドがあるんですね」「初めて知りました。ありがとうございます」など、驚きの声が続出。
また、同様の経験がある人々からは「軍手についても危険です」「こぼした接着剤をティッシュで拭いて、事故ったことがある」など、恐ろしい体験談が寄せられていた。
記者個人は幸い、まだこうした事態には遭遇していないが…。いずれも日常生活で使用されるアイテムのため、知らずに組み合わせてしまう可能性は決して低くないと思われる。
ちなみに、ポスト投稿主・渡辺さんは「ハンマーダルシマー」という楽器の台にクッションとしてフェルトをつけようとしたところ、今回の事態が起こったという。
そこで今回は、瞬間接着剤『アロンアルフア』のメーカー・東亞合成に詳しい話を聞いてみることに。その結果、衝撃の事実が明らかになったのだ…。
■最大で「142℃」まで温度が上昇
取材に際し、残念ながら東亞合成からの回答は得られなかった。
しかし、同社としても発熱に関する注意喚起は「積極的に進めていきたい」という思いはあるようだ。「アロンアルフア」公式サイト内にある「発熱のしくみとやけどへのご注意」というページ内の情報を見てみよう。
ここでは、「短時間で強力に接着できる瞬間接着剤は、シアノアクリレートと呼ばれる成分が使われています。シアノアクリレートは、接着面表面や空気中の水分に反応して硬化します。そして硬化する際に反応熱が発生します」と、瞬間接着剤のメカニズムについて説明している。
そして、ティッシュペーパーや布に染み込むと、その反応が多発し、急激な温度上昇が起こるケースがあるというのだ。

条件次第では100℃以上(後述の実験では最大142℃)の高熱となる可能性もあるため、「『アロンアルフア』を使用する際に、軍手のような布製の手袋は使わないようにお願いいたします」と、呼びかけている。
なお、同社が軍手に『アロンアルフアEXTRA速効多用途』を5滴垂らす、という実験を行なったところ、約30秒後に132℃まで温度が上昇したことが判明。時間の経過と共に温度は低下し、約60秒後に約80℃、70秒後に約70℃になったそうだ。