要は、諭すってことなんだろうね。説教じゃなくて。
娘に救われた瞬間
本の中で一番グッときたのが、著者の娘さんが言った言葉。
「ママが育てると、みんな性格よくなるよね」
え? なにそれ? きっかけは、著者の家の犬(日本スピッツ)がご近所さんに褒められたから。「おとなしくていい子ですね」って。で、娘さんが「お兄ちゃんも私も、みんなに優しいって言われるし、ママの育て方がいいんだよ」って言ったんだと。
いや待て、犬の性格は絶対に天性だろ(笑)。著者も「犬の躾なんてまともにしてない」って正直に書いてるし。
でもその時、著者はハッとしたらしい。娘さんは自分のことを「人に好かれる性格」って思ってるんだ。それって、すごいことじゃない? 自己肯定感MAX状態。
この話を読んで思った。私たちの何気ない言葉って、娘の心に種を蒔いてるんだよね。
「あなたって優しいのね」→優しさの種 「またダメなことして!」→ダメの種
そして娘は、その種から育った実を一生食べ続ける。考えると怖くない?
昔、母に「あんたは要領が悪い」って言われた記憶、今でも残ってる。たぶん母は覚えてないと思うけど。で、実際に私は今でも要領悪いし、「私って要領悪いから」が口癖になってる。
これか。これなんだ。
大事なのは、言葉の力を知ってること。そして間違えた時は「さっきはごめんね」って言えること。娘も人間、私も人間。お互い様でしょ。
それに、母親だって学習中なんだから。娘が成長するのと同じスピードで、私も母として成長してる。多分。そう思いたい。
ちなみに今朝も娘に「早く起きて」って言っちゃった。進歩なし。でも今日は「昨日よく眠れた?」も付け加えた。これも種の一つになるかもね。知らんけど。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)