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いま、中小企業を取り巻く環境は大きく変化しています。利上げによる金融コストの上昇、人件費や物価の高騰、さらに先行きの見えない景気動向。これまで以上に「売上を伸ばせばなんとかなる」という発想が通用しにくくなりました。こうした時代に経営を守るためには、収益性そのものに目を向けることが不可欠です。
では、収益性を高めるために経営者が最初に取り組むべきことは何でしょうか?
その答えの一つが「数字の扱い方」です。数字を“見るだけ”で終わる会社と、数字を行動に変えて利益を生み出す会社。この違いが、厳しい環境を生き抜けるかどうかを左右しています。
「見るだけで終わる会社」の典型
「毎月の売上と利益は確認しているけれど、次に何をすれば良いかはわからない」 「KPIを掲げてはいるが、現場でどう達成するかまでは浸透していない」 「会議で『上がった』『下がった』と話すだけで、行動につながらない」
こうした会社は少なくありません。共通しているのは、数字が「目的」ではなく「習慣」になってしまっていることです。つまり「毎月見ているから続けている」だけで、「なぜそれを見るのか」「見た後どうするのか」が曖昧なのです。
「利益を生む会社」は何をしているのか
一方で利益を生む会社は、数字を「行動につながる指標」として扱っています。経営指標は結果(KGI)だけでなく、行動に直結するKPIが設計されています。
例えば、KGIが「売上1億円」なら、KPIは「新規問い合わせ件数」「受注率」「顧客単価」「リピート率」など。これらは「どこを動かせば成果が変わるか」を教えてくれる数字です。
重要なのは、KPIを単なる数値目標にとどめず、「現場の具体的な行動」と結びつけること。たとえば「問い合わせ件数100件」よりも「週2本のブログ更新+SNS投稿で問い合わせ100件」のほうが行動イメージを持ちやすく、改善にも直結します。