海外事業が好調

 業績としては25年3月期の国内飲料・食品セグメントは減収減益となったものの、会社全体では売上高は前年度から横ばいで、営業利益率は10%以上と高収益を維持している。その要因は何か。

「海外事業の実績が要因としてあげられます。米州での本数増、価格改定効果に各地域での為替の円安が加わり増収、増益となり、国内飲料・食品セグメントの減収減益をカバーしています。

 海外の売上高としては、米州地域では、メキシコ、アメリカが前期に引き続き堅調に販売本数を伸ばし、本数全体では2.6%増となりました。さらに各国での価格改定効果に加え、為替のプラス影響も26億円あり、96億円増収の918億円となりました。アジア・オセアニア地域では、ベトナムが約20%増と1日当たり100万本を超えても順調に販売本数を伸ばしているものの、主要国の中国、インドネシアでの本数減少が影響し、アジア全体の本数は5%減少しました。しかし、為替のプラス影響が72億円あり、15億円増収の1348億円となりました。ヨーロッパは販売本数を7.6%伸ばし17億円の増収となり、海外全体では129億円増収の2387億円となりました。

 営業利益について、米州地域では、販売本数増と値上げによる粗利増により経費増を吸収し、そこに為替のプラス影響10億円が加わり、40億円増益の257億円となりました。アジア・オセアニア地域は、販売本数減少の影響があったものの、中国での人件費減等の経費減や為替のプラス影響もあり、10億円増益の107億円となりました。ヨーロッパは売上増により4億円の増益となり、海外全体では55億円増益の367億円となりました」

「乳酸菌 シロタ株」の普及に努める

 前述のとおりヤクルトは海外事業の売上比率が高いが、どのように海外事業を拡大させてきたのか。そして、海外事業の今後のさらなる成長に向けて、どのような戦略を描いているのか。

「弊社の海外事業は1964年に台湾から始まり、現在では39の国・地域で『ヤクルト』を販売しています。弊社の海外事業は『ヤクルト』に含まれる『乳酸菌 シロタ株』の飲用価値を、確実にその国・地域の人々に理解してもらうことを主眼に展開してきました。今後は、既進出先の国・地域のなかで科学的エビデンスを積み重ね、引き続き、『乳酸菌 シロタ株』の普及に努めると同時に、それぞれの国・地域のお客さまニーズに合わせた商品・サービスを提供することで、健康づくりに貢献します。まだまだ多くの国・地域が進出先として残されていますので、それらの国・地域に進出することで事業拡大のドライバーとしていきます」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)