それでも十分に改善しなかったため、さらに「エピネフリン(アドレナリン)」を追加。

この連続投与により、ようやく心拍が正常範囲に戻り、チワワは命を取り留めました。

その後、専門病院で24時間経過観察されましたが、幸い後遺症もなく退院できたといいます。

この症例が注目された理由は、「犬のコカイン中毒で房室ブロックが発症した初めての臨床例」として記録されたからです。

これまでの研究や臨床報告では、コカイン中毒の犬は主に「心拍数が高くなる」のが一般的で、 今回のような例は報告されていませんでした。

つまり、高用量やストリートドラッグの混入薬物が、動物の心臓に“予想外の異常”をもたらすことがあるという新しい警鐘なのです。

本研究を率いたジョンソン獣医師は「このような症例報告が現場の医師や飼い主の知識となり、命を救う助けになる」と語っています。

飼い主へのアドバイスとして、獣医師は「散歩や外出時は“何でも食べてしまう”癖を抑えるためにバスケットマズル(口輪)を活用し、家庭や外での落ちているものには十分に注意してほしい」と呼びかけています。

また、社会全体として「違法薬物の流通が人間だけでなくペットにも脅威となっている」現実を直視しなければなりません。

このチワワは奇跡的に助かりましたが、これは“まれな幸運”です。

多くの場合は命を落とすリスクが高いのが現実です。

私たちも「ありえないこと」と考えず、愛犬の異常を感じたらすぐに獣医師に相談することが大切です。

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参考文献

This Chihuahua Munched on a Bunch of Cocaine (and Fentanyl) and Lived to Tell the Tale
https://www.zmescience.com/ecology/animals-ecology/chihuahua-cocaine-fentanyl-lessons/