一卵性双生児は、遺伝子がほぼ一致しているため、医学や心理学の研究では、遺伝的要因を除いた影響を調べるためによく利用されます。

研究チームは、この数奇な運命を科学的研究に資するべく、双子に協力してもらいIQテストやインタビューを用いて、育った環境が与える影響について調査を実施したのです。

その結果、双子には、まったく違う環境で育ったにもかかわらず、数多くの共通点が見出されました

たとえば、「良心的で自尊心が高い」という性格特性は一致しており、神経質な性格ではないことも示されました。

2人の職業は行政官と料理人で違っていましたが、仕事に対する満足度や精神衛生の高さでも同じスコアを出しています。

また、過去の病歴にもかなりの類似性が見られました。

ところがその中で、IQ(知能指数)のスコアだけは、韓国で生まれ育った双子の方が16ポイントも高くなっていたのです。

それから、処理速度や非言語的推論(対称性・形状・サイズ・方向など、視覚的な能力を指す)のスコアにも、同じく顕著な開きが見られました。

研究主任で、CSUの心理学者であるナンシー・シーガル(Nancy Segal)氏は、この結果を受け、「人間の知能がどの程度遺伝子により決定され、どの程度育った環境に影響されるか、再考する必要がある」と述べています。

この差は、やはり環境の違いによるものなのでしょうか?

子供の知能は「育つ環境」で変わる可能性も

本研究のスコアは、双子の持ついくつかの能力について明確な違いを示しましたが、一方で、その理由は明確ではありません。

アメリカ在住の双子は、成人後に3回ほど脳震とうを経験していると報告されているため、それが何らかの影響を与えた可能性も否定はできません。

しかし、認知スコアに影響するような問題と言えるかは明らかではなく、やはり考えられる要因は「育った環境の違い」が大きいでしょう。

双子が育った場所は、アメリカと韓国という異国の地であることに加え、家庭環境もまったく違うものでした。