「努力次第で誰でも賢くなれる」と信じたいところですが、知能への遺伝的影響は数多く報告されています。
とくに、IQ(知能指数)の高さは最大80%が遺伝子で決まるとされ、一卵性双生児は、IQテストでほぼ同じスコアを出すと言われています。
しかし米カリフォルニア州立大学(CSU)は2022年に、幼年期に生き別れて、2020年に再会を果たした「一卵性双生児」を研究する貴重な機会を得ました。
この双子は40年以上もの間、韓国とアメリカの異なる環境で育ち、暮らしています。
そしてIQテストの結果、双子のスコアには16ポイントもの大幅な差が見られたのです。
知能指数は遺伝子だけでなく、育った環境にも強く左右されるのかもしれません。
研究の詳細は2022年4月12日付で学術誌『Personality and Individual Differences』に掲載されています。
目次
- 2才で生き別れた双子の姉妹、IQに大幅な開きを確認
- 子供の知能は「育つ環境」で変わる可能性も
2才で生き別れた双子の姉妹、IQに大幅な開きを確認
本研究に協力してくれた双子の姉妹は、1974年に韓国のソウルで一卵性双生児として生を受けました。
ところが、2才のときに祖母と出向いた市場にて、片方の子が迷子になり、2人は離れ離れになったという。
家族の懸命の捜索もむなしく、少女が見つかることはありませんでした。
その頃、迷子になった少女は、実家から約160キロも離れた病院に搬送されており、家族が見つからないことから里子に出され、最終的にアメリカの夫婦の養子として母国を離れることになったのです。
それから時は流れ、2018年、韓国で家族とはぐれた子供たちを捜索するプログラムの一環として、DNAデータの調査を開始。
アメリカ在住の双子がDNAサンプルを提供したことで、双子の姉妹がアメリカにいることが発覚し、2人は2020年に再会を果たしたのです。
