太陽光発電との比較
発電ではJFEエンジのバイオガス発電が使われるが、どのような技術なのか。太陽光発電など他の再生可能エネルギー発電と比較して、コストや発電効率などの面で、どのような特徴があるのか。
「技術概要としては、弊社の発電技術は、最新の嫌気性発酵技術をベースに、専用タンク内で微生物を最適環境下に維持することで、有機物を効率的に分解・発酵させ、メタンを高濃度で生成します。その後、このバイオガスをガスエンジンにより発電する仕組みです。
太陽光発電との比較としては、以下のようになっております。 ・運転時間と安定性 バイオガスプラントは24時間連続運転が可能であり、天候や季節に左右されず安定した発電が実現できます。対して、太陽光発電は日照条件や天候に依存するため発電量が変動します。 ・設置コスト・土地利用 初期設備投資や設置スペースについても、食材廃棄物を有効利用するため、必ずしも広大な土地が必要とならず、既存の廃棄物処理拠点や都市部近郊での設置が可能です。 ・経済性 廃棄物回収自体がコスト削減(従来の廃棄処分費用の削減)につながる点や、FIT制度による安定収入が期待でき、総合的な事業収益性の向上が見込まれます」
外食チェーン側のメリット
外食チェーン側としては、食べ残し回収や電力買い戻しなどのコストがかかるが、どのようなメリットが見込めるのか。
「食べ残し回収や電力買い戻しといった直接的なコストが発生する場合でも、外食チェーン側には以下のメリットがございます。 ・コスト削減効果 食材廃棄物の処理費用が焼却処理に比べ削減されるとともに、回収後の廃棄物がエネルギーに変換されることで付加価値を生むため、従来の廃棄物処理にかかる経費を電力費と一部相殺できます(※現状の電力費用次第で、相殺できないこともあります)。 ・環境・イメージ向上 自社の廃棄物がエネルギーに変換される循環型システムにより、環境配慮型経営の一環として企業イメージの向上につながります。これにより、消費者からの信頼度やブランド価値の向上も期待されます。 ・規制対応と補助金の活用可能性 官公庁や自治体の環境政策に合致する取り組みとして、各種補助金や優遇制度の対象となる可能性があり、長期的なコストメリットがあると考えております」
最後に、同事業の今後の展開・拡大計画について聞いた。
「弊社は、全国6カ所のバイオガス発電事業を基に、今後以下のようなステップで事業拡大を検討しております。 ・提携店舗の拡大 初期導入店舗での実績を踏まえ、より多くの外食チェーンおよび小売店舗との連携を全国規模で推進していきます。 ・プラント効率の向上 受け入れる廃棄物の品目や量の増加により、運転効率や発電効率のさらなる最適化を図ります。 ・技術革新とコストダウン 発酵プロセスの最適化や自動運転システムの導入により、運転コストのさらなる削減および発電効率のアップを追求してまいります。 ・サーキュラーエコノミーの推進 加えて、発電後の副産物である消化残渣の有効活用(堆肥や飼料への転換など)により、地域の農業や環境保全とも連携するビジネスモデルの構築を目指しています」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)