2020年代に自動運転技術やコネクテッド技術の開発・商用化など、さまざまな革新が進むとされる自動車業界。日本を代表する産業の一つだが、各社の従業員の年収はいくらくらいなのだろか?ここでは、各社の現在の年収ランキングと今後の展望を見ていく。
自動車メーカーの年収ランキング
まずは、各自動車メーカーの平均年収を紹介しよう。
平均年収は、上場企業が決算期ごとに公表している「有価証券報告書」から知ることができる。具体的には、「第一部 企業情報」における「第1 企業の概況」の中の「5 従業員の状況」に記載されている。
従業員の平均年収は、企業によって1円単位で公表しているケースもあれば1,000円単位のケースもあるので、この記事では一律1,000円単位(100の位は切り捨て)で紹介する。
<自動車メーカーの年収ランキング>
順位 | 企業名 | 平均年収 |
1位 | トヨタ自動車 | 865万8,000円 |
2位 | 本田技研工業 | 816万8,000円 |
3位 | 日産自動車 | 810万2,000円 |
4位 | いすゞ自動車 | 776万4,000円 |
5位 | 三菱自動車 | 731万1,000円 |
6位 | スズキ | 691万3,000円 |
7位 | マツダ | 664万1,000円 |
8位 | 日野自動車 | 653万1,000円 |
9位 | SUBARU | 640万6,000円 |
平均年収が800万円台の企業は、トヨタ自動車・本田技研工業・日産自動車の3社。700万円台の企業は、いすゞ自動車・三菱自動車の2社、その他の4社は、いずれも平均年収が600万円台だ。
TOP3の平均年収と今後の展望
トップ3はトヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車と知名度も抜群。日本の自動車業界ビッグ3の平均年収の推移と今後の展望を見ていこう。
1位,トヨタ自動車 平均年収865万8,000円
1位は「世界のトヨタ」とも呼ばれるトヨタ自動車、さすがの貫禄だ。平均年収は前年から14万3,000円ほど上がっており、増加額でもこの記事で紹介している9社の中でトップ。従業員の平均年齢は39.6歳、平均勤続年数は15.8年、従業員数は7万4,132人。
トヨタ自動車は現在、自動運転EV(電気自動車)「e-Palette」の開発に注力している。東京五輪の選手村で導入される計画が発表されており、2021年に延期された五輪で、トヨタの最新技術が披露されることが期待される。
新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも、エンジニアなどの採用に積極的。最近は自動運転システムの設計や、トヨタが今年着工するコネクティッドシティ「Woven City」関連の求人を行っている。
2位,本田技研工業 平均年収816万8,000円
2位は本田技研工業の816万8,000円。平均年収は前年から3万円ほど下がったが、依然として800万円台をキープ。従業員の平均年齢は45.5歳、平均勤続年数は23.8年、従業員数は2万5,379人。
公式サイトの求人ページでは、「空への挑戦」「電動化の推進」「モビリティの知能化」といったプロジェクトストーリーを掲げ、「どうなるかじゃない、どうするかだ。」というキャッチフレーズで人材を募集している。
本田技研工業は、2021年3月までに日本初の条件付自動運転車(自動運転レベル3)を発売する計画を発表している。自動運転で事業拡大に大成功すれば、平均年収1位のトヨタを追い抜くかもしれない。
3位,日産自動車 平均年収810万2,000円
第3位は日産自動車で平均年収は810万2,000円、本田技研工業とほぼ同じ水準だ。前年からは5万2,000円ダウン。従業員の平均年齢は41.4歳、平均継続年数は17.7年、従業員数は2万2,717人。
カルロス・ゴーン氏の逮捕・逃亡騒動などで注目を浴びた日産だが、先進技術への投資には余念がない。EVでは日本をリードする存在であり、DeNAなどとの自動運転タクシー実証にも早くから取り組んでいる。
採用情報ページでは「仕事に挑むこと、未来に挑むこと」というキャッチフレーズで、各分野のプロフェッショナルを目指す人材を募集している。
国がガソリン車廃止を検討、自動車業界はどうなる?
100年に一度の大変革が起きていると言われる自動車業界。持続的な成長のためには、従来の技術・概念に固執せず、新技術に挑むことが求められる。大きな変動が起こる可能性もあり、今後も目が離せない。
自動車業界では、最近政府が2030年代半ばにガソリン車の新車販売をなくすことを検討していることが明らかになり、話題になった。今後はEV化の推進に向けて、国が各自動車メーカーに圧力をかけることも考えられる。計画が具体的なロードマップに落としこまれる中で、各社がどのような反応を示すのか気になるところだ。
執筆・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。
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