ユニ・チャーム「果たすべき役割がある」
こうしたなか、ユニ・チャームは23年にケニアで生理用ナプキンの販売を開始。今年6月には豊田通商と合弁会社「Sofy East Africa Limited」を立ち上げることを発表し、将来的には他のアフリカの国々にも輸出していくことを目指す。同社がアフリカ市場への進出・拡大に至った背景について、同社は次のように説明する。
「アフリカでは生理用ナプキンの普及率が依然として低く、ケニアでも普及率は約3割にとどまっています。価格やアクセス面での課題から、衛生用品を使いたくても使えないという社会課題が深刻です。当社は、生理用品を原点とし、女性を支え続けることで世界中の生活者へ貢献してきた企業として、生活者の不快や不安を取り除き、自らの可能性を広げられる社会を目指してきました。特に女性のエンパワーメントや衛生環境の改善が強く求められているアフリカ地域において、SDGsの達成をパーパスに掲げる当社だからこそ、果たすべき役割があると考え、市場進出を決断しました」
現在のアフリカ事業の状況はどうなっているのか。
「23年8月より、エジプト工場で生産したプレミアム生理用ナプキン『SOFY Deep Absorb』を、ケニアを含む複数国に輸出・販売してきました。しかし、価格や入手性の課題が残っていたことから、25年1月に現地生産の『SOFY Long Lasting』をケニアで発売し、品質と価格の両立を図りました。販売は当初計画を上回るペースで推移しており、安定供給と地域密着型の展開を強化するため、25年内に合弁会社『Sofy East Africa Limited』を設立することを決定。ケニアは既存販路・ブランド認知・地域拠点性の3点から、設立地として最適と判断しました」
ライフステージ全体を支える存在を目指す
ユニ・チャームは今後、アフリカ事業のさらなる拡大に向けてアクセルを踏み込んでいくという。
「32年までにケニアにおける生理用品市場でのシェアNo.1を目指しています。そのために、商品改良やブランド育成に加え、現地での教育・啓発活動と連携し、認知→信頼→購買の循環を定着させていきます。販売現場では、単なる商品提供にとどまらず、スタッフが商品特長を説明し理解を促す活動も実施。こうした生活者の声を商品・マーケティングに反映することで、『使える』から『選ばれる』ブランドへ進化させます。将来的には、生理用品にとどまらず、ベビーケアや大人用ケアなど他カテゴリーへの展開も視野に入れ、ライフステージ全体を支える存在を目指します」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)