●この記事のポイント ・ユニ・チャームがケニアで生理用ナプキンブランド「SOFY」の販売を拡大 ・アフリカでは流通量の少なさや価格の高さが理由で使い捨てナプキンが普及しておらず、女性の教育・就労の障害に ・ケニアは既存販路・ブランド認知・地域拠点性の3点から、設立地として最適
大手消費財メーカー、ユニ・チャームがケニアで生理用ナプキンブランド「SOFY(ソフィ)」の販売を拡大させている。同社は2023年に同国で生理用ナプキンの販売を開始し、今年1月から価格が従来の約3分の2となる商品を現地で生産。近年、ケニアを含むアフリカ各国では急速な経済成長が続いている。一方、流通量の少なさや価格の高さが理由で使い捨てナプキンが普及しておらず、女性の教育・就労の障害になっている。ユニ・チャームは、まず消費者に生理用ナプキンを使う機会を得てもらうために1枚入りの商品も投入。今後はアフリカの他の国への販売拡大を計画しており、手に取りやすい生理用ナプキンの販売を通じて社会課題の解決を目指す。アフリカ市場開拓の状況や市場拡大の可能性、そして今後の計画について、ユニ・チャームに取材した。
●目次
日本企業もアフリカへの参入を活発化
今回で9回目となった、アフリカの発展について議論するアフリカ開発会議(TICAD)が22日に閉幕したが、それにあわせて開催されたビジネスイベントでは約200に上る企業・団体が展示などを行い、アフリカのビジネス関係者などに積極的なアプローチを展開。採択された「横浜宣言」ではアフリカのデジタル変革の推進が盛り込まれ、日本のAI・デジタル・ロボット工学の領域における技術をアフリカの経済成長に活用していく方針が示された。
近年、アフリカの一部の国では急速な経済成長が続いている。たとえばルワンダは2010年以降、平均7%前後の実質経済成長率を維持。ケニアの24年の実質GDP成長率は4.7%だが、同国の成長を牽引するのが金融、情報通信などだ。アフリカでは銀行口座やPCを利用する人が少なかったことから、金融やITの領域において先進国がたどった技術的発展のプロセスを経ずに、いきなり最先端の技術が普及する“数段飛び”“リープ・フロッグ” と呼ばれる経済発展を遂げている。ドローンやフィンテックなども普及しており、南アフリカ共和国やナイジェリアではフィンテックのユニコーン企業(未上場で企業価値が10億ドル以上)も誕生し、海外のベンチャーキャピタルなどからの投資も流れ込んでいる。
日本企業もアフリカへの参入を活発化させている。23年にはソフトバンクがルワンダで「空飛ぶ基地局」による5Gの通信試験を実施し注目されたが、大手の総合商社や通信会社、メーカー、ソフト関連企業などが現地企業への出資も含めて数多く進出。日系スタートアップも多く、東北大学発のスタートアップ・TBAは簡単に実施できる遺伝子検査法を開発し、遺伝子検査キットをアフリカで製造し、感染症対策に役立てようと事業を展開。ARKは水産の陸上養殖システムの市場開拓に取り組んでいる。MITAS Medicalは眼科の医療施設がない地域に遠隔で眼科医療を提供する事業に取り組んでいる。
日本政府も日本企業のアフリカ進出を後押ししている。経済産業省はベンチャーキャピタルと共同で企業の進出を支援する官民連合を構築。ジェトロは23年に「ジャパンテック・アフリカチャレンジ事業」を始め、スタートアップのアフリカ進出を支援している。