残骸の“フジツボ”が語る偽装工作の証拠?

 MH370便の機体は未だ発見されていないが、2015年7月、インド洋に浮かぶフランス領レユニオン島で、機体の右翼の一部である「フラッペロン」が発見された。これは、インド洋墜落説を裏付ける有力な証拠とされてきた。

 しかし、ワイズ氏は、この残骸こそがロシアによる偽装工作の証拠だと断言する。彼が注目したのは、フラッペロンに付着していたフジツボの成長具合だ。

 ワイズ氏は、アフリカ東岸のザンジバルに漂着した、海中に10ヶ月間あったブイを調査。そこに付着した最大のフジツボが46mmだったのに対し、マレーシア運輸省の報告によれば、フラッペロンの最大のフジツボは36mmだった。公式見解では、この大きさからフラッペロンは15〜16ヶ月間海中にあったと結論づけられている。

 しかし、ワイズ氏はこれに異を唱える。フラッペロンの他のフジツボは1mmから30mmとサイズにばらつきがあり、成長にかかる時間と矛盾するというのだ。彼は、このデータが示すのはただ一つ、「これらの残骸は、飛行機が失踪してから約1年間、海中にはなかった」ということだと主張する。

「ロシアは、自分たちの計画が破綻しかけていると感じたのでしょう。そこで、墜落説を補強するために、機体の一部を海に数ヶ月間沈めてフジツボを付着させ、発見されるように仕向けたのです」(ワイズ氏)

MH370便失踪はプーチンの仕業だった!?航空専門家がトンデモ主張!“フジツボ”を新証拠にロシアの犯行を告発の画像3
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

積み重なる「不在の証拠」と、消えぬ謎

 ワイズ氏は、インド洋墜落説には決定的な証拠が欠けていると指摘する。「証拠の不在は、証拠がないことの証明にはならないと言う人もいるが、実際にはそうではない」と彼は語る。

 大規模な空中からの捜索にもかかわらず、なぜ残骸は一つも見つからなかったのか。もし本当にインド洋に墜落していたなら、もっと多くの証拠が見つかるはずだ、と。

 もちろん、ワイズ氏の説はあくまで一つの仮説に過ぎない。海洋生物学の専門家は、フジツボの成長具合だけで何かを断定することはできないと反論している。公式見解では、機長による自殺目的の墜落説などが有力視されており、謎は依然として闇の中だ。

 ワイズ氏は、決定的な証拠は、いつかロシアの政権が崩壊し、公文書館の記録が公開された時に見つかるだろうと語る。それまでは根気強く証拠を提示し続けるしかない、と。

 10年の時を経てもなお、多くの謎と陰謀論に包まれるMH370便失踪事件。フジツボが語る新たな“真実”は、この未解決事件に終止符を打つことになるのだろうか。

参考:Daily Star、ほか

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