
「サイコパス」という人格は、大人になってから突如として現れるわけではない。その根は、わずか3歳という、驚くほど幼い子供時代にすでに宿っていることがある――。これは、長年子どもの行動を研究してきた専門家、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのエッシ・ヴィディング教授が鳴らす警鐘だ。
サイコパスとは、他者への共感性が欠如し、自己中心的に振る舞い、時には犯罪などの有害な行動に走るパーソナリティ障害の一種だ。もちろん、これから紹介する特徴を持つ子供が、必ず将来危険なサイコパスになるわけではない。しかし、これらは放置すれば深刻な問題につながりかねない「早期警告」であり、親が知っておくべき重要なサインなのである。
「わんぱく」では済まない3つの危険なサイン
ここで挙げる兆候は、癇癪を起こしたり、友達とおもちゃを共有できなかったりする、いわゆる「わんぱく」や「いたずらっ子」の行動とは根本的に異なる。問題となるのは、「素行症」という行動障害に、「冷淡で無感情」な特性が組み合わさった場合だ。具体的には、以下の3つの特徴が挙げられる。
1.他人の痛みへの「無反応」
普通の子供は、誰かを傷つければ罪悪感を抱き、相手が悲しむ姿を見れば心が痛む。しかし、この特性を持つ子供は、他人の感情に全く反応しない。例えば、友達のおもちゃを力ずくで奪い、相手が泣き叫んでも平然としている。そこには罪悪感のかけらも見られない。
2.罰から学ばない
悪いことをすれば罰せられる。ほとんどの子供は「タイムアウト(反省の時間)」をさせられたり、おやつを抜きにされたりといった罰を通じて、自分の行動とその結果を結びつけて学習していく。しかし、この特性を持つ子供は、何度罰せられても行動を改めない。罰が「自分ごと」として理解できず、同じ過ちを何度も繰り返すのだ。
3.他人を喜ばせることへの「無関心」
多くの子供は、親や先生、友達を喜ばせることに純粋な喜びを感じる。「すごいね」と褒められることが、次の行動へのモチベーションになる。しかし、この特性を持つ子供は、他人の喜びや評価に全く関心を示さない。彼らの関心は、常に「自分が何をしたいか」だけに向けられている。