
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))
米インディアナ州の上空で、数十機のドローンが一斉にコントロールを失い、次々と墜落していく――。先日、米軍関係者の目の前で繰り広げられたこの光景は、ミサイルや砲弾によるものではなかった。空を埋め尽くしたドローンの大群を撃ち落としたのは、目に見えないエネルギーのビームだったのだ。
これは、米国の防衛関連企業Epirus社が開発した高出力マイクロ波(HPM)兵器「レオニダス」の公開実験の一幕だ。クライマックスでは、49機ものドローンを一度に無力化することに成功。同社のCEO、アンディ・ローリー氏は「これは技術的特異点(シンギュラリティ)だ」と胸を張った。SF映画の世界が、今まさに現実になろうとしている。
深刻化する「ドローンの群れ」という新たな脅威
現代の戦場は、安価なドローンによって一変した。ウクライナでは、市販のクアッドコプターが改造され、塹壕に爆弾を投下する。中東の紅海では、フーシ派がドローンや自爆ボートを使い、貨物船や軍艦を脅かしている。米軍基地でさえ、わずか数万円のドローンによる攻撃で死者が出ているのが現状だ。
この「コストの非対称性」は、米軍の計画担当者を夜も眠れないほど悩ませている。数億円の迎撃ミサイルで、数万円のドローンを撃ち落とすのは、あまりにも効率が悪い。数万機の自律型ドローンによる飽和攻撃を受ければ、いかに最新鋭の防衛システムでも数時間で無力化されてしまう、という悪夢のシナリオが現実味を帯びているのだ。
従来の迎撃手段は限界に近い。レーザー兵器は一度に一つの目標しか狙えず、電子ジャマーも、GPSや無線に頼らず自律飛行する最新ドローンには効果が薄い。しかし、「ジャミング不可能」は「撃墜不可能」を意味しない。そこに、マイクロ波兵器というゲームチェンジャーが登場した。