●この記事のポイント ・しまむら、25年2月期連結業績は売上高・営業利益ともに過去最高を更新 ・ほぼ同じ水準の売上高の無印良品を運営する良品計画と比較すると、営業利益・売上高営業利益率ともに上回っている ・良品生活の直近の販管費比率は40%台なのに対して、しまむらは20%台

 大手アパレルチェーン「しまむら」の業績が好調だ。2025年2月期連結業績は、売上高が前期比4.8%増の6653億円、営業利益が同7.1%増の592億円で、ともに過去最高を更新。低価格路線で知られる「しまむら」だが、ほぼ同じ水準の売上高で高付加価値商品を強みとする無印良品を運営する良品計画と比較すると、意外にも営業利益・売上高営業利益率ともに上回っているのだ。その理由は何なのか。そして、ユニクロや無印良品といった強力な競合がひしめく業界内で、なぜ「しまむら」は持続的な成長を遂げることができているのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

●目次

低い販管費比率が経営のポイント

 まず、「しまむら」の営業利益と売上高営業利益率が、無印良品の運営会社のそれらを上回っている理由はなんなのか。経営コンサルタントでムガマエ株式会社代表の岩崎剛幸氏は次のように分析する。

「もっとも大きい理由は、2社の販管費のかけ方がまったく違うという点です。良品計画の直近の販管費比率は40%台なのに対して、しまむらは20%台に抑えられています。この販管費比率が低いというのが、しまむらがずっと守っている最大の経営ポイントです。以前に比べると上がってきてはいますが、小売業としては非常に低い数値です。良品計画、ファーストリテイリング、ZARA、H&MといったSPA企業(製造小売業)は自社で商品を製造するので粗利益が高い一方、販売のために広告費をかけたり、家賃が高い場所に売り場面積の大きな店舗を出店するので、多額の経費が発生します。しまむらは最近でこそ都心にも出店していますが、銀座の一等地に1000坪の店舗を出すという発想は持っていません。広告宣伝にも多くのお金をかけておらず、そういうところにお金をかけていくという発想がないんです。

 都心にお店を出す場合も、少し駅から離れた場所のビルの3階などを選んでいます。なぜなのかといえば、従来しまむらというお店は、地方の郊外でお客が車で来るような場所で営業して、大きな駐車場を備えて、そこに買い物に来てもらうというロードサイドで商売をするというローコスト経営の典型モデルなんです。その原点を守り続けることで、確実に売上を伸ばしています。粗利率もそれほど高くはないものの、経費を極力抑えて利益をしっかり出すということを続けているのです」