上記の問題について、当方の見解を少し書き足したい。まず、今回のガザ戦闘はハマスの「奇襲テロ」(2023年10月7日)が契機となって始まったことを忘れてはならないだろう。その意味で、イスラエルのハマスへの報復攻撃には正当性がある。同時に、アラブ諸国に取り囲まれたイスラエル国家の生存権を尊重すべきだ。

問題は、ネタニヤフ首相は1200人以上のユダヤ人が虐殺され、120人以上が人質にされた「ハマスの蛮行」を絶対に許せない、という姿勢は理解できるが、報復、憎悪からは本当の解決は難しいことだ。ネタニヤフ首相は「ハマスの壊滅」を目指しているが、第2、第3のハマスがガザの廃墟から新たに生まれてくるだろう。ある時点で報復をやめ、共存の道を模索していかなければならない。さもなければ、戦いは永遠に続く。ユダヤ民族は受難の民族だが、パレスチナ人も同様だ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年8月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。