これらの成分は人間の嗅覚からは、それぞれ前者が「汗」「尿」「じゃこう」のようなにおいだと表現され、後者は「じゃこう」「白檀(ビャクダン)」のようなにおいだと表現されたようです。

「じゃこう」「白檀」と言われても、なんなのかピンとこない人も多いかもしれませんが、「じゃこう」はオスのジャコウジカ(シカに似た動物)の腹部にある腺から得られる分泌物を乾燥させたものです。

香料や生薬の一種として用いられ、「ムスク」とも呼ばれています。ジャコウジカは、このにおいでメスを引き寄せたり、縄張りを示したりするようです。元々のにおい自体は、アンモニア臭と獣臭が混ざった不快な臭いだと言われていますが、それを乾燥させることで嫌な臭いが薄れ、甘い香りへと変化するようです。

また「白檀」とは、インド原産の熱帯性常緑樹であり、甘くてエキゾチックな香りがすると言われており、線香にもよく使われます。

「じゃこう」と「白檀」だけであればそこまで不快なにおいではなさそうですが、若者特有のにおい物質は、そこに尿が加わったような独特のにおいになります。

十代の若者の「不快なにおい」成分が判明。
十代の若者の「不快なにおい」成分が判明。 / Credit:Canva

研究チームは、「十代の若者に特有ないくつかの成分が、その体臭を不快にさせている」と考えています。

この結果は、十代の若者をターゲットにした消臭製品を生み出すのに役立つと考えられます。

悪臭のもとになる成分を明確にし、これを打ち消す製品が作れれば、何らかの香料で誤魔化すような方法を取らなくても不快な体臭を抑えられるようになるかもしれません。

しかしなぜ、成長とともに人の体臭は変化していくのでしょか?

これに関して、まだ仮説の段階ですがある科学者は、「乳児のいいにおいには、親の愛情と保護を促進させる働きがあり、十代の若者の嫌なにおいは、親との近親交配を防ぐのに役立つ可能性がある」と述べています。

その考えからすると、「なんでもかんでも消臭すればよい」わけではないと言えますね。