これじゃ派閥のボスに逆らえないじゃないか。「お前、俺に逆らったな」って後で締め上げられる。公認外されたり、カネ止められたり。そりゃ本音なんて言えない。

国民には「秘密投票で審判を」と言いながら、身内では「お前の投票、全部見てるぞ」。ダブスタにもほどがある。

専門家として言いたいこと

私は以前、マーケティングを教えていたことがある。生徒には必ず言っていた。

「データを見る時は、必ず『どうやって集めたか』を確認しろ」

世論調査の多くは、この基本すら満たしていない。調査方法の詳細を公開しない。補正方法も不明。これじゃ占いと変わらない。いや、占いの方がまだ正直かもしれない。「当たるも八卦」って最初から言ってるから。

さらに腹立たしいのは、メディアがこの数字を無批判に垂れ流すこと。「支持率回復!」「石破政権に追い風!」。

違うだろ。

まず「この調査の信頼性はどうなのか」から始めろよ。回答率2%の調査結果を「国民の声」として報道する神経が分からない。

あと、電話調査に頼りすぎるのもどうか。ネット調査は偏るというが、電話調査だって十分偏ってる。むしろ複数の方法を組み合わせて、その差異も含めて報道すべきじゃないか。

選挙で負けたのに支持率上昇。この矛盾、実は矛盾じゃないのかもしれない。そもそも世論調査と選挙結果を同列に語ること自体が間違いなのかも。

片や回答率2%の電話調査。片や投票率50%超の国政選挙。どっちが「民意」か、考えるまでもない。

次の選挙まで、まだ時間はある。それまでにこの国の民主主義が少しでもマシになることを……期待はしてないが、諦めもしない。諦めたら、そこで試合終了だから。

(筆者は作家兼調査オタク。石破総理とは一度も会ったことがないが……)

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)