また、人生についていえば「お金より思い出と成長」を意識している。以前は仕事に忙しく、旅行は数年に一度行くかどうかというレベルだったが、今ではほぼ毎月飛行機に乗って旅行や出張に出かける生活に変えた。

人生の大局的な方向性さえブレなければ、あらゆる想定外があっても大間違いをすることはないと思うのだ。

逆算思考が有効な領域と無効な領域

これまで「逆算して戦略を立てても無意味」という話をしてきた。一方で、「逆算思考」が通用する領域もある。

たとえば資格試験の勉強は逆算が有効だ。目標の試験を設定し、必要な参考書を積み上げ、合格に必要な知識を蓄えていけば、結果はほぼ予想通りに再現できる。実際、自分自身も英語資格の取得を始め、あらゆる勉強はゴール逆算思考で実現してきた。

だが、「◯ヶ月で合格する」「半年で必ず成果を出す」といった時間的な目標設定は意味が薄い。特にスキマ時間で取り組む社会人にとっては、逆算の「期限」を設定しても、仕事や育児からたくさんの想定外イベントが生まれるので、現実的にその通りには進まない。

大切なのは「質の高い勉強を継続する」という大局の軸であって、期限ではないのだ。

目標があるとむしろ足を引っ張られる

人間は不確定性に強いストレスを感じるように出来ているため、人は計画を作ることが大好きである。どうせ当たらない計画を立てることは時間のムダでしかないのだが、これは一種の娯楽といえる。キャリアや旅行も実践するのは気が重いという人も、計画を立てることは楽しい。

そこを踏まえていうと、下手に人生目標を持つとむしろ足を引っ張る要素になりかねないことも少なくない。

筆者は会社員の頃、自分は会計の専門家で国際的な企業で働くべきという目標を持っていた。実際、目論見通り実現出来たがまったく自分の強みを活かせず、苦手なチームプレイで結果を出せないで自信を失っていた。

「あなたは性格的に会社員は向いていないので独立したほうがいい」という妻の提案で独立をした。だがその数年後に自分がYouTuberになるなんて思ってもなかった。当初、自分の中でYouTuberというイメージは「ふざけてスライム風呂に飛び込んで笑いを取るピエロ」くらいの解像度だったのだ。自分の価値観、将来のことは自分でもわからない。