映像では、キングペンギンが捕食の0.5~1.5秒前に首を餌の方向に向け、その後首を伸ばすようにして一気に魚をついばみ捕食。魚はくちばしに捕まる瞬間までペンギンの接近に気づかないか、捕まる0.1秒前に回避行動をとっていたそうです。

この事実は、魚に気づかれることなく忍び寄ることができる能力が、キングペンギンにはあることを示唆しています。

実際、この研究でビデオカメラを装着したペンギンは約1時間30分の映像の中で136回の捕食を試み、そのうちの86.8%に値する118回の捕食で魚を捕まえることに成功していたとのこと。

キングペンギンは上昇中に捕食する

また、ビデオカメラについたセンサーに記録された潜水深度の変化では、キングペンギンが深度100~150mまで一気に潜った後、潜水の中盤で上昇と下降を数回繰り返していることが判明しています。

さらに、この記録と餌採りのタイミングを比較したところ、81.6%の捕食が上昇中に行われていることが判明したのです。

こられのことからキングペンギンは、上昇と下降を繰り返しながら効率的に捕食を行っていると考えられました。

また、より深く暗い下方から魚に近づくことは、獲物に気づかれにくくなるメリットがあることに加え、明るい海面を背景にすることで、魚のシルエットを捉えやすくする効果を利用している可能性があると考えられられています。

みんな独自の方法で獲物を捕食

キングペンギンが生息する亜南極には、ナンキョクオットセイやミナミゾウアザラシなど大型種も生息しており、これらの動物たちもキングペンギンと同じ魚を餌にしてるようです。

しかし、体の大きさや泳ぐスピード、小回りのききやすさが異なっており、それぞれに合った方法で餌を採っていることが知られています。キングペンギンはというと、上昇と下降を繰り返しながら捕食を行うといった、独自の方法を使っていることが今回の研究で判明しました。