
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))
宇宙探査の歴史上、これほどまでに研究者たちの心を掴んで離さない謎の信号があっただろうか。1977年に一度だけ観測された、通称「Wow!シグナル」。地球外知的生命体探査(SETI)における最大のミステリーとされるこの信号について、未公開データを含む最新の再調査が行われ、その正体が再び議論の的となっている。果たして、宇宙人からのメッセージだったのか?
天文学者が「ワオ!」と叫んだ72秒間の奇跡
事件が起きたのは1977年8月15日。オハイオ州立大学のビッグイヤー電波望遠鏡が、非常に強い、特定の周波数帯に絞られた電波信号を受信した。数日後、天文学者のジェリー・エーマンがそのデータをレビューしていた際、72秒間にわたって続いた異常な信号系列に気づき、思わずプリントアウトの余白に「Wow!」と書きなぐった。これが、この謎多き信号の名前の由来である。
以来、このWow!シグナルの正体をめぐり、数々の説が提唱されては否定されてきた。彗星が原因だとする説もあったが、信号の強さや途切れ方から、観測チーム自身によってすぐに反論された。
この信号が「宇宙人からのメッセージではないか」と囁かれるのには、もっともな理由がある。
まず、これほど強力で特徴的な信号は、後にも先にも観測されていない。そして、受信された周波数帯は「水素線」に非常に近く、宇宙からの背景ノイズが少ないため、もし私たちが他の文明と交信を試みるなら、まさにうってつけの周波数なのだ。
観測チーム自身も、これが地球外生命体由来である可能性を真剣に考えていた。1994年、電波天文台の所長ジョン・クラウスは、かの有名なカール・セーガンに宛てた手紙の中で、「Wow!シグナルは地球外知的生命体の存在を強く示唆している」と記している。

(画像=Credit: Big Ear Radio Observatory / North American AstroPhysical Observatory (NAAPO), Public DomainLink)