チェルノブイリで"極めて危険な鉄の塊”に座る観光客 ― 高濃度の“放射能”に汚染された「死の爪」の恐怖の画像1
(画像=画像は「Misterios do Mundo」より)

 SNSで再び拡散され、人々を震撼させている一枚の古い写真。そこには、二人の女性が、錆びついた巨大な機械の爪のような物体に、にこやかに腰掛けている姿が写っている。場所は、ウクライナのチェルノブイリ立入禁止区域。そして、彼女たちが座っているその物体こそ、この地球上で最も危険な場所の一つで、極めて高い放射能を放つ、死の爪なのである。

死の灰を掴んだ“汚染された爪”

 この不気味な物体は、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故の際に、後片付け作業で使われた掘削機の「爪(クロー)」だ。爆発した4号炉の、極めて高濃度に汚染された瓦礫を移動させるために使われたこの爪は、その過程で大量の放射性降下物を浴び、それ自体が危険な放射性物質の塊と化した。

 写真が撮影された当時、チェルノブイリへの観光は、認可されたガイドと共であれば可能だった。しかし、当然ながら、汚染された物体に物理的に接触することは、固く禁じられていた。この二人の女性は、そのルールを破り、好奇心からこの危険な記念撮影を行ったのだ。

本当の危険は“見えないホコリ”

 専門家によれば、彼女たちがこの物体に短時間座っていただけで、長期的な健康被害を受ける可能性は低いという。この爪が放出する放射線量は、1時間あたり約0.3ミリシーベルト。これは、胸部X線検査1回分の約3倍に相当する。つまり、20分未満の接触であれば、医療検査と同程度の被ばく量で済む計算だ。

 しかし、本当の危険は、その場での被ばくではない。この爪の表面は、目には見えない放射能を帯びたホコリや汚れで覆われている。これらの粒子が皮膚や衣服に付着し、吸い込んだり、口から摂取したりした場合、体内で長期間にわたって放射線を放出し続け、深刻な内部被ばくを引き起こす可能性があるのだ。