AIは地方医療を救うのか

 実際のところ、どのような医療現場ならAIの価値が見いだせるだろうか。率直に高原医師に尋ねたところ、「見落としを防ぎたいという医師には向いているが、研修医のようなレベルでは使いこなせないだろう」とAIの可能性を肯定しつつも、活用は限定的だという見方をした。現状のAIは画像診断での支援が主だが、将来的には問診や一次診断、さらには診療ナビゲーションまで担えるようになることを期待している。

「たとえば問診支援AIがもっと発展して、一次問診をAIが行い、訓練を受けた看護師が診察をして、医師の指示を仰ぐことができるようになれば、医師の数が足りなくてもカバーする体制が作れるかもしれませんね」

 地方医療におけるAI医療機器の導入は、単なるテクノロジーの進化ではない。限られた人材・資源の中で「誤診を減らし、医療を持続させる」ための、必要に迫られた選択なのだ。

(寄稿=相馬留美/ジャーナリスト)