包まれるような新しい感覚の入浴感を実現

 開発に際しては、やはり浴槽の布に関する部分に難しさがあったという。

「開発においては、手軽に取り外しができる重量と、布の強度のバランスを取ることに難しさがありました。取り外しを想定すると、女性でも手軽に扱えて、簡単に設置できる重さの浴槽であることが必要です。それと同時に、安定して人の体と体重、そしてお湯を支えることのできる布強度も重要となります。最終的には強度を備えたPET繊維と、防水性がありサラサラと肌ざわりの良いウレタンフィルムとの複層を素材として用い、約900gの軽い浴槽を実現しました。

 またハンモック構造の浴槽は、お湯を入れるとお湯の重量でテンションがかかり安定します。首や肩周りを柔らかく受け止めてくれるのも、この構造ならではです。さらに、ユーザーにご満足いただける入浴感を確立するため、社内外を合わせ延べ約200人の方に入浴していただき、テストを重ねました。これらの試行錯誤を経て、包まれるような新しい感覚の入浴感を実現しました」

賃貸マンションや民泊、戸建新築など多様な先から注文

 販売は好調とのことだが、どのような属性の購入者が多いのか。

「当初は、マンションのリノベーション市場をメインとし、都心部に住む単身者や共働きの夫婦、少人数世帯などをターゲットにしていましたが、実際は世代を問わず、賃貸マンションや民泊、戸建新築など多様な先から注文が入っています。(今後の拡販計画について)詳細はお伝えできませんが、既成概念を壊す、浴室を開放する、入浴時間を大切に感じてもらうなどをアイディアの軸に、今後も市場の反応を見ながら、新たな商品企画に取り組んでいきます。市場に一石を投じる中でさまざまな反応が得られているので、その情報も貴重な財産として次の計画に繋げていけたらと考えています」

 8月には、新たなグレードとして、隣接する空間とバススペースをシームレスにつなぐ細いフレームの引き違い戸を搭載した最上位グレード(Gタイプ)を市場投入した。デザイン性や個性のある商品の魅力が認められてのアップデートとなる。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)