これは陸上で観察されていた数値よりもはるかに多く、飛行中に体重を減らすことで飛行効率を高めている可能性も示唆されます。
また、この大量の糞は海に栄養を供給します。
オオミズナギドリのような海鳥は世界に数億羽存在しており、群れで採餌する場所では糞によって局所的に栄養塩が増えると考えられます。
これはプランクトンや魚類の生産性を支える仕組みの一部になるかもしれません。
さらに、公衆衛生上の観点も重要です。
近年、鳥インフルエンザが海鳥の間で広がっており、糞を介した感染が大きな要因とされています。
異なる繁殖地から集まる海鳥が外洋で同じ餌場を利用する際、飛行中にばらまかれる糞が感染拡大を引き起こす可能性があるのです。
今回の発見は、海洋における病原体伝播の理解にもつながる重要な手がかりといえます。
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参考文献
海鳥のトイレ事情を解明 ―排泄のタイミングを腹部カメラで観察―
https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/news/2025/20250819.html
元論文
Periodic excretion patterns of seabirds in flight
https://doi.org/10.1016/j.cub.2025.06.058
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部